具体的内容:昨年度同様に遊離組織移植後の患者で電気インピーダンス測定を行った。実際には回路素子測定器ZM2371((株)エヌエフ回路設計ブロック)およびオーダーメイドの1㎜間隔の4極針特製電極を用いて、測定条件を電圧100-500mV、周波数1kHz-100kHzの範囲で、術後の電気インピーダンスを測定した。結果は昨年同様のデータが得られたが、それにより本法にある程度の普遍性があることが確認できた。吻合血管のトラブルが生じた症例は本年度も認めなかった。体位の変動に伴うインピーダンス値の変化もある程度の普遍性が確認された。具体的には血管吻合部と皮弁の位置関係で皮弁血流がややうっ滞する方向へ体動があった場合には、抵抗が減少し、容量が増大する方向(インピーダンスを複素数ベクトル平面上に表したときに左上方向へ移動する方向)への変化が生じることが分かった。これは、臨床で実際に確認することは出来なかったが、実験的に示唆された、動脈血栓、静脈血栓が生じた際に起きる変化とは異なり、区別することが可能であった。 意義・重要性:これまでの研究の中では異常値を得ることはできなかったが、臨床例でのデータ 蓄積を行うことで、通常状態における値(正常値)の範囲をある程度把握することができた。今後、イベント発生時の値と比較することで異常な値の変化の様子(異常値)との比較・検討を行うことへつながると考えられる。ひいては本法のモニタリングとしての応用、アラームレベルの設定に役に立つものと考えらえる。
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