具体的内容:2016年度から2018年度にかけて遊離組織移植後の患者で電気インピーダンス測定を行った。実際には回路素子測定器ZM2371((株)エヌエフ回路設計ブロック)およびオーダーメイドの1㎜間隔の2針または4針の特製電極を用いて、測定条件を電圧100-500mV、周波数1kHz-100kHzの範囲で、術後の電気インピーダンスを測定した。吻合血管のトラブルが生じた症例は実施症例群では認めなかった。従って、本研究年度より過去も含めて臨床例としてイベントを生じた症例は、本研究開始前の1例のみであり、その他はイベントを生じなかった群としてデータの検討と行うこととし、動物実験のデータも参考にアラームレベルの設定を求めていくこととした。2019年度はデータ解析をさらに詳しく行うなかで、得られたインピーダンスの数値自体にはばらつきがあり、アラームレベルを特定の値で設定することは困難であった。しかし、同一検体において、過去の計測値と、イベント発生時の計測値の比較という方向で検討を行うことである程度の方向性を見た。アラームレベルについては、インピーダンスの実部と虚部の値について、過去60分前から30分前までの平均の値から過去30分間の値の比を求めた際に、イベント発生時には、大きく変化する場合は約10倍以上、小さく変化する場合には約10分の1以下の値へ変化することが分かり、これがアラーム設定のポイントの参考になることが分かった。 意義・重要性:臨床例での異常値を得ることはできなかったが、臨床例でのデータ 蓄積を行うことで、通常状態における値(正常値)の範囲をある程度把握することができた。過去の臨床例での唯一のイベント発生症例および、並行して行った動物実験の結果を合わせて、アラームレベルの設定に目途をつけることができた。
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