研究課題
末梢神経損傷に対して生体分解性人工神経誘導管が臨床で用いられているが、そのパフォーマンスは自家神経移植に比べ劣る。また近年、皮下脂肪組織由来のAdipose-derived stem cells (ADSCs) や Stromal-vascular fraction (SVF) が神経軸索再生を促進すること諸家により報告されている。2016、2017年度に我々は人工神経誘導管内にADSCs、SVFをそれぞれ封入したハイブリッド型人工神経を作成し、ラット動物実験モデルを用いてその顔面神経再生能力を検証する前臨床研究を行った。その結果、ADSCsとSVFはともに同レベルでの優れた神経再生促進効果を有することが分かった。しかしながらADSCsとSVFを顔面神経欠損症例へ臨床応用する観点から比較すると、SVFは神経損傷に対するハイブリッド人工神経のマテリアルとしてより応用し易いと考えられた。2018年度は昨年度にラット顔面神経再生研究にて確立したPGA生体分解性人工神経誘導管と皮下脂肪組織由来のSVFを組み合わせたハイブリッド型人工神経の再生限界距離を測定するため、主に大動物の顔面神経欠損モデルを確立する目的でヒツジの顔面神経解剖に関して研究を行った。そして過去に我々が報告したミニブタの顔面神経解剖と比較して、ヒツジの顔面神経、舌下神経の走行とそれぞれの神経軸索数がよりヒトに近い構造を有していることを発見した。加えて自家神経移植のレシピエントとなるヒツジの大耳介神経および腓腹神経の採取方法、さらにはヒツジの咬筋神経の解剖学的構造を解明した。今後はヒツジ顔面神経欠損モデルの作成と生理学的機能評価法の確立、及びヒツジから作成したSVFハイブリッド型人工神経を用いた神経再生限界距離の測定を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
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