研究課題/領域番号 |
16K11385
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
樫村 勉 日本大学, 医学部, 准教授 (20570740)
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研究分担者 |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 准教授 (00246589)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
仲沢 弘明 日本大学, 医学部, 教授 (60180270)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / 難治性皮膚潰瘍 / 糖尿病 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
高齢者の難治性皮膚潰瘍に対する脱分化脂肪細胞(以下、DFAT)を用いた治療法の検討を行った。 1.同種DFATによる検討:高齢者の治療において、緊急時など同種細胞による治療も選択肢の一つとなり得る。そこで、SD系ラットの背部に乱走型皮弁を挙上し、GFP陽性のWistar系ラットより調整したDFATを注入し組織学的検討を行った。DFAT投与により皮弁の生着域が拡大し、GFP陽性細胞とその周囲に新生血管を多数認めた。 2.糖尿病ラットを用いた検討:高齢者の難治性皮膚潰瘍において最も治療に難渋することの多い糖尿病性潰瘍に関する検討を行った。2型糖尿病を有するSD系ラットであるSDTFattyラットの背部皮弁を用いて同様に検討した。生着域は、対照群が34 .5±9.2%、健常ラット由来のDFAT投与群が48.9±10.8%であった。健常なSD系ラットにSDTFattyラット由来のDFAT投与したところ、生着域は45.7±8.2%であった。健常のSD系ラットの対照群(53.8±6.4%)と比較し糖尿病ラットの対照群では、生着域が縮小していた。また健常なラット由来のDFATの投与により、糖尿病ラットにおいても血流不全組織の救済効果が得られていた。 3.9ヶ月齢のラットを用いた検討:これまでの検討は、主に7週齢の若齢ラットを利用した。そこで、9ヶ月齢のSD系ラットを用いて同様に検討した。生着域は、対照群が56.2±10.6%、7週齢のSD系ラット由来のDFAT投与群が63.6±3.9%、9ヶ月齢ラット由来のDFAT投与群が54.7±8.8%、7週齢由来のWistar系ラット由来のDFAT投与群が61.3±10.2%であった。若齢ラット由来のDFATで生着域拡大効果が得られていた。 DFATは、高齢や基礎疾患を有する血流不全に起因する難治性皮膚潰瘍に一定の治療効果を持つことが示唆された。
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