栄養療法は患者管理の基盤である。生理的な栄養管理法である経腸(経口)栄養が不可能な場合、栄養管理は完全静脈栄養に依存するが感染性合併症の発生率上昇や予後の悪化をまねく。その原因として腸管を中心とした粘膜免疫だけではなく、肝臓の免疫も低下する多臓器免疫不全の惹起が指摘されている。しかし、その機序は複雑で不明な点が多く、有効な対策法の開発を難しくしている。 本研究では経腸栄養欠如による腸管や肝免疫の低下機序について検討しその要因を明らかにできた。この結果は、経腸栄養が欠如しても腸管免疫や肝免疫の維持が可能となる栄養管理法開発につながり、重症患者の栄養管理技術の向上に寄与することが期待される。
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