研究課題/領域番号 |
16K11397
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
今村 浩 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60283264)
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研究分担者 |
新田 憲市 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (00381228)
望月 勝徳 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (40467163)
嘉嶋 勇一郎 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (70545722)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心電図伝送 / 急性心筋梗塞 / 病院前医療 / 急性冠症候群 / メディカルコントロール / 救急医療体制 |
研究実績の概要 |
急性冠症候群症例に対する心電図伝送は、病院到着後の早期再灌流療法を行うためにきわめて有効であるが、我が国で広く行われるには至っていない。本研究の目的は,メディカルコントロール体制を用いて心電図伝送を広く普及させ、かつ有効活用するシステムを構築し、その効果を検証することである。 この目的を達成するため、研究施設の救命救急センターに循環器専門医を配置し、救急医と協力してオンラインメディカルコントロールに参加した。地域メディカルコントロール委員会と協力し、医療圏内2箇所の救命救急センターおよび広域消防局との間で協議を行い、救急救命士が心電図伝送を行う際の症例選択、伝送のタイミングを標準化した。 この結果、当該医療圏内においては標準化された適応、手順にしたがって心電図伝送が行われ、伝送件数は研究開始前3年間が平均164.3件/年であったのに対し、研究期間中は209.7件/年と増加した。循環器専門医との連携の下、オンラインメディカルコントロール医師の指示に伝送心電図情報が有効活用された。定期的に行われる地域メディカルコントロール委員会事後検証会において心電図伝送に関するフィードバックが行われた。伝送件数の増加には、メディカルコントロールを利用した伝送体制を確立したことが貢献したと考えられた。 オンラインメディカルコントロール医師への心電図伝送は、病院到着後の早期再灌流療法の施行に留まらず、心原性ショックを合併した非ST上昇型急性冠症候群など超重症例の早期認識や、救急救命士への救命処置についての的確な指示にも結びついていた。これらは心電図伝送事例を事後検証会等において具体的、客観的に検証して多くの医師、救急救命士間で心電図伝送の適応や利用法についての認識を共有したことが奏功したと考えられた。
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