研究課題/領域番号 |
16K11399
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中橋 奨 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (40761896)
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研究分担者 |
丸藤 哲 北海道大学, 医学研究院, 名誉教授 (30125306)
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症 / 好中球性炎症 / 人工換気 / 人工呼吸 / 腹臥位 / PET / CT |
研究実績の概要 |
まず急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome: ARDS)モデルrabbitにおいてin vivoでの肺の好中球性炎症の新評価方法を確立した。これは鎮静麻酔・筋弛緩下における人工換気中のモデルrabbitに対し、核医学検査的手法(Positron Emission Tomography:PET)を用いた診断・評価方法である。今回確立した方法は主に次の3要素から構築している:①重症ARDSモデルの確立(Berlin定義のsevere type:酸素化指標であるP/F ratio <100)、②PETダイナミック撮影法の確立、③画像解析コンピュータ・プログラムの作製。 ③は以下の要素から構成されている;(a)Computed Tomography(CT)画像の機能・形態学的評価の自動解析プログラム、(b)CT画像とPET画像との融合画像の自動作製プログラム、(c)モデル解析法による速度定数・FDG uptake rateの自動算出プログラム。 次いで、開発した上記評価法を用いて調査したところ、重症ARDSモデルにおける肺の好中球性炎症の進行は、人工換気の方法そのものによって修飾され、通常の仰臥位での実施よりも、腹臥位人工換気においてはその炎症の進行が遅延/抑制される事が判明した。また同モデルにおける炎症の増悪は、炎症が強度な局所に、人工換気による伸展刺激が重畳する事によりもたらされる事も判明した。腹臥位人工換気における局所の炎症への作用は、この伸展刺激の軽減によるものである事を、画像解析より得た。 血漿cytokine評価による全身性炎症は、腹臥位人工換気により減少傾向にあり、つまり肺局所の炎症を抑制する事により肺由来の炎症性物質放出を減じ、全身性にも影響を及ぼす可能性が推察される結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で重要な位置を占める自動解析・評価プログラムについて、重大なバグが多数発見されたため、その修正に多大な時間を要した。しかし、概ねこの問題は解決できた。 一方、画像解析時に行う再構成処理や融合処理の精度向上および簡略化を計っている最中であり、これに加えて、核医学検査時におけるTENPOのミセル形態の安定性確保が難しく、時間を要している。 さらに、代表研究者が一時体調を壊した時期があった為。
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今後の研究の推進方策 |
核医学検査時におけるTENPOの安定性確保が困難を極める一方、研究過程において、よりanalog的手法ではあるが、簡便な炎症抑制方法の発見に到り、まずこれの成果発表(論文)を目論む。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が体調を壊した為、研究が一時的に中断した時期があったことによる。 現在は問題はない為、次年度以降、核医学検査時におけるTENPOの安定性確保及びPET撮像を進める事とする。
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