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2019 年度 実績報告書

次世代シークエンサーを用いた急性脳炎・脳症診断への新たな取り組み

研究課題

研究課題/領域番号 16K11402
研究機関大阪大学

研究代表者

吉矢 和久  大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (40379201)

研究分担者 高橋 弘毅  関西医科大学, 医学部, 助教 (30609590)
嶋津 岳士  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
清水 健太郎  大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
小倉 裕司  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
小島 将裕  大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70721091)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードメタゲノムシークエンサー / 急性脳炎・脳症 / 細菌性髄膜炎 / ウイルス性脳炎 / 髄液
研究実績の概要

急性脳炎・脳症は、それまで健康であった人が急速に意識障害や痙攣で発症し、重度の後遺症を残す例や死亡する例も少なくない。ほとんどの例で先行感染を契機に脳炎・脳症を発症するが、その契機となる感染症の原因微生物が同定されないことが多いのが現状である。特に成人発症の急性脳炎・脳症の病原体不明の割合は6割を超えるとされている。そこで我々はメタゲノムシークエンサーに着目した。メタゲノムシークエンサーは生体試料中のメタゲノムを網羅的に検出・解析することができ、これまで検出できなかったウイルスを含めた原因微生物を同定できる可能性がある。
今回我々は2002年~2018年の16年間に当救命救急センターに入院となった84例の急性脳脊髄炎・脳症症例のうち18例で髄液のメタゲノムシークエンサー解析を行うことができた。
メタゲノムシークエンサーによる解析を行った18例のうち5例は細菌性髄膜炎と診断した症例、残りの13例はウイルス性・免疫介在性・原因不明の急施脳炎脳症症例であった。細菌性髄膜炎5例のうち2例でstreptococcus pneumoniaを検出。これはいずれも尿中抗原検査の結果と一致した。またウイルス性・免疫介在性・原因不明脳炎・脳症と診断していた13例のうち2例でherpessvirus、1例でkocuria rhizophilaを検出した。検出率は低かったが、3例いずれもが、これまで微生物の関与を診断できていなかった症例であった。
メタゲノムシークエンサーを用いた解析により18例中5例(28%)の髄液中から、従来の方法では同定することのできなかった微生物を同定することができた。これはこれまで微生物の関与を証明できていなかった急性脳炎・脳症の原因解明や発症メカニズム解明につながる可能性を示唆するものであり、そのためにも更なる症例の蓄積が必要である。

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公開日: 2021-01-27  

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