研究課題/領域番号 |
16K11407
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (60170601)
|
研究分担者 |
朱 鵬翔 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (40380216)
加藤 英政 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (50292123)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 軽度外傷性脳損傷(MTBI) / 脊髄損傷 / 紅蔘 / 高次脳機能障害 / アストロサイト / 神経炎症 |
研究実績の概要 |
平成28年度では、脊髄損傷モデル動物を用いて、紅蔘エキスの神経組織保護作用を調べた。紅蔘エキスを経口投与されたラット(実験群)ではVehicle群と比較して、脊髄損傷後二週間で、行動能力の評価が脊髄損傷前のレベルにまで有意に回復した。実験群の脊髄組織中の炎症因子の発現がVehicle群により有意に減少した。同時に、BclXLとVEGFなどの神経保護因子の発現が実験群で有意に増加した。実験群の脊髄前角の神経細胞数が、Vehicle群より有意に多かった。一方損傷した部位に集まったミクログリアの数ではVehicle群の方が実験群より明らかに多かった。以上の結果から、紅蔘エキスは脊髄損傷後の免疫反応又は炎症反応を抑制し、かつ神経保護因子の産生を促進することにより損傷脊髄を保護するものと考えられた。 平成29年度から、脊髄損傷モデル動物を用いた実験の結果をもとに、軽度外傷性脳損傷(MTBI)モデル動物に対する紅蔘の作用を調べた。紅蔘末入り餌を与えられたマウス(実験群)では、vehicleを与えられたマウス(vehicle群)より、MTBI後12週間後で記憶障害と認知障害が改善された結果が見られた。 平成30年度では、前年度の実験に続いて、紅蔘の神経保護作用のメカニズムを調べた。MTBI後の脳組織を調べた結果、実験群の脳内炎症性サイトカインの発現はvehicle群に比べて有意に減少した。免疫組織化学染色と蛍光染色により脳組織を調べた結果、vehicle群に比べて実験群のマウス脳内の活性化したグリア細胞は有意に減少した。また、MTBI後36週間では実験群脳内での微小管結合蛋白タウ(Tau)の発現はvehicle群により減少傾向が見られた。以上の結果より、紅蔘とその成分が神経外傷後の炎症反応を抑制し、損傷した神経組織の回復を促進すると考えられた。
|