研究課題
頭部外傷の診断を,血液検査でのバイオマーカー測定を用いてできるようになるか否かを検討する臨床研究である.重症頭部外傷症例ではこれまでも報告してきたため,より診断が困難と思われる軽症から中等症の頭部外傷を対象として検討を行った.救急外来を受診した際の血液検査を採取し,血清バイオマーカーとしてGFAP(glial fibrillary acidic protein)を測定,実際の頭部CTの結果と比較して精度を検討するものである.共同研究施設である熊本医療センター救急外来において,臨床研究はすでに倫理委員会の承認を得て開始しており,共同研究者とともに救急外来を受診した頭部外傷症例から血清を採取・保存を行った.今回の研究費を用いて,同検体のGFAP濃度の測定を行った.測定結果を,意識レベルの指標となる身体所見GCS(Glasgow coma scale)と比較検討した.GCSと比較して,GFAPの優位性を認めた.この結果はヨーロッパ集中治療医学会(Europian Society of Intrensive Care Medicine: ESICM2017)で発表報告を行った.さらに得られた検体からGFAPを他のバイオマーカーとも比較検討するため,追加で倫理委員会に測定の申請を行い承認を得た.さらに頭部外傷のバイオマーカーとして文献的に報告のあるpNF-H(phosphorylated neurofilament heavy subunit),H-FABP(heart-fatty acidic binding protein),NSE(neuron specific enolase),S100B(S100B protein)の測定を追加で施行した.追加測定で得られた結果をさらに検討し,ESICM2018や日本救急医学会総会でこれを発表予定である.
2: おおむね順調に進展している
検体採取および測定が終了している.最終結果の学会発表や論文作成がまだである.
上記の検体採取や測定により得られた結果の検討および発表が今後の予定である.
学会発表のための旅費として利用する.
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