研究課題/領域番号 |
16K11413
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
原田 敬介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00560004)
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研究分担者 |
上村 修二 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10448607)
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30347174)
井上 弘行 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30721568)
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70295343)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心停止後症候群 / 経皮的心肺補助装置 / 肝不全 / 腸管障害 / 小型肝細胞 |
研究実績の概要 |
<平成28年度> 基礎研究として、ラット蘇生後腸管症候群モデルの確立のための予備実験を開始した。1分間の12V/50Hzの電気刺激によりVFを誘導し、その後5分間のVF心停止を維持する。PCPS群では、脱血ルート、送血ルートを確保した上で、PCPS回路を用い補助循環装置による循環再開・維持を行う。一方、通常の胸骨圧迫によるconventional CPR群は、VF誘導後、5分間のVF心停止を維持した後、100%酸素投与と200回/minの胸骨圧迫を2分間行う。上記の2群間で各々について、PCPS駆動下、およびconventional CPR後の循環再開状態での腸管血流動態の計測を超音波血流計(transonic T400)を用いて、また、腸管粘膜の観察を細径内視鏡システム(AVIS AE-C1)を用いて検討する。超音波血流計および細径内視鏡の機器条件設定を行った。 臨床研究については、当センターに搬入となった循環器疾患蘇生後患者を対象に、蘇生後に生じる下痢に関しての後ろ向きに検討を行った。調査項目は、年齢、性別、PCPS装着の有無、IABP装着の有無、循環停止時間、バイスタンダーCPRの有無、血液生化学的検査(pH、乳酸値、BE)、心拍再開時の血圧、カテコラミンの使用の有無、排便の有無、便量、便性状とした。以上の調査項目のうち、PCPS・IABP使用の有無、乳酸値、循環停止時間に関して、下痢の出現との相関を認めた。さらに、これらの項目を用いた多変量解析からは、循環停止時間のみ下痢との相関を認めた。以上の結果から、長時間の循環停止後に補助循環装置の使用によって生じる臓器虚血再潅流障害が下痢の主因であることが想定されたが、今後、補助循環装置の使用下での腸管血流動態の把握によって、蘇生後腸管症候群の更なる病態の解明に繋がると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度である平成28年度は、ラット蘇生後腸管症候群モデルとして、2群比較における片群である電気刺激による心肺停止後に補助循環装置を使用したPCPS群の確立を予定した。ただし、小動物使用下でのローラーポンプ、膜型人工肺を用いたラットPCPS回路の構築には至っていないため、PCPS群を用いた腸管血流胴体の計測や、腸管粘膜の観察と、循環再開後の腸管および肝組織採取による臓器障害に関する血清学的、組織学的検討が未実施であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、ラットPCPS回路の構築によるPCPS群の確立後に、通常の胸骨圧迫によるconventional CPR群との2群比較により、PCPS駆動下、およびconventional CPR後の循環再開状態での超音波血流計(transonic T400)を用いた腸管血流動態の計測と、細径内視鏡システム(AVIS AE-C1)による腸管粘膜の観察を進める。 また、安楽死後に、腸管および肝組織採取による臓器障害に関する血清学的、組織学的検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の段階で予定していた、設備備品と消耗品の購入が予定よりも少なかったこと、学会発表のために計上していた旅費を平成28年度に使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度および平成30年度に設備備品の購入を予定している。また、旅費に関しては、平成29年度に学会発表および、本研究に関する他施設研究者との打合せの際に使用予定である。
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