研究課題/領域番号 |
16K11414
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
太田 周平 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (20381478)
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研究分担者 |
東條 健太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 特任講師 (80737552)
宮崎 智之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30580724)
馬場 靖子 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (80453041)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 急性呼吸促迫症候群 / 細胞代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では急性呼吸促迫症候群において傷害をうける肺胞上皮細胞のエネルギー代謝の変化を明らかにし,異常の見られた細胞代謝を制御することで肺胞上皮細胞を機能不全や細胞死から保護するという治療アプローチの可能性について検討することを目的としている. まず最初に,申請者らのグループによって確立された,”肺胞上皮細胞株に対して好中球及びリポポリサッカライドを加えることで傷害を引き起すin vitro肺傷害モデル”を用いて,細胞内のエネルギー指標であるアデノシン三リン酸(ATP)がどのように変化をするのか検討を行った.肺胞上皮細胞株に対して好中球,リポポリサッカライド単独を加えただけでは強い変化が生じなかったが,両者を同時に加えることで,著名な細胞死が生じた.カスパーゼ3/7阻害剤の投与により細胞死が抑制されなかったことから,これらの細胞死は非アポトーシス性の細胞死であると考えられた.非アポトーシス性の細胞死の背景にはミトコンドリア機能低下による,細胞のエネルギー代謝不全があることが報告されていることから,傷害後に生存していた肺胞上皮細胞からATPを抽出し,タンパク濃度あたりの濃度を測定した.好中球+リポポリサッカライドを加えて24時間後に生存していた細胞のATP濃度はコントロール細胞の70%程度まで低下していた. これらの結果から傷害を受けた肺胞上皮細胞では大きくATPが低下しており,エネルギー代謝傷害が生じているということが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
追加採択での研究費交付となったため,培養細胞を用いた肺傷害モデルにおけるATP濃度の測定を行えたものの,包括的なエネルギー代謝の解析まではできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いたモデルに引き続き,LPSを投与した肺傷害動物モデルを用いて,肺組織のATPがどのように変化するか検討を行う.さらに,培養細胞モデル,動物モデルを用いて,細胞エネルギーの包括的な解析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞を用いた肺傷害モデルにおいて,ATPの低下が見られることまでは明らかにできたが,細胞の包括的なエネルギー代謝の解析を行うことができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
培養細胞を用いた肺傷害モデルにおける,肺胞上皮細胞のエネルギー代謝についてメタボロミクスにより包括的に明らかにするための実験に用いる.また,肺傷害動物モデルにおける肺組織ATPの変化について解析する実験の動物購入費,試薬購入費にあてる.
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