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2017 年度 実施状況報告書

ICU患者の睡眠障害、せん妄に対するオレキシン拮抗薬の有用性

研究課題

研究課題/領域番号 16K11418
研究機関自治医科大学

研究代表者

讃井 將満  自治医科大学, 医学部, 教授 (30424039)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードせん妄 / 集中治療 / 睡眠 / ポリソムノグラフィー / スポレキサント
研究実績の概要

Phase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、倫理委員会で審議を受けている段階である。
Phase 2・Phase 3で使用する睡眠モニターの正確度と妥当性を検証する準備研究を行った。看護師による他覚的睡眠評価、非侵襲的な睡眠モニタリング機能付きマット(眠りSCAN TM;、パラマウントベッド社)、簡易脳波モニター(SedLine TM;、マシモジャパン社)の正確度・感度・特異度を、定型的質問紙法やポリソムノグララフィー(PSG)を対照として比較・検証し、それぞれの睡眠モニターとしての信頼度と正確度を確認した。各種の睡眠モニタリング法の妥当性・正確性の評価を行っておくことは、非侵襲的に睡眠モニター結果の解釈に必要不可欠であり、結果が得られた意義は大きい。
Phase 2として”スボレキサントによる睡眠構築・せん妄への影響”を前向きに検討する予定であったが、実行可能性を考慮し、単施設後ろ向き観察研究に変更した。結果として、スボレキサントがICU患者のせん妄の減少と関連することが示され、その結果が国際雑誌に掲載された。
Phase 3である”心臓血管外科術後患者を対象としてスボレキサント投与の無作為化比較試験”の実行可能性、臨床的有用性を考慮して、計画を修正し、スボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコルの有用性を検証する多施設前向き介入前後比較研究を開始した。13施設が参加を表明し、進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Phase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、検体取り扱い・送付に関して調整に時間を要し、現在、倫理委員会で審議を受けている段階である。
Phase 2、Phase 3で使用する睡眠モニターの正確度と妥当性を検証する準備研究を行った。看護師による他覚的睡眠評価、非侵襲的な睡眠モニタリング機能付きマット、簡易脳波モニターの妥当性・正確性を、定型的質問紙法やPSGを対照として比較・検証し、学術集会において結果を発表した。各種の睡眠モニタリング法の妥当性・正確性の評価を行っておくことは、非侵襲的に睡眠モニター結果の解釈に必要不可欠であり、結果が得られた意義は大きい。
当初Phase 2として”スボレキサントによる睡眠構築・せん妄への影響”を前向きに検討する予定であったが、実行可能性を考慮し、単施設後ろ向き観察研究に変更し、スボレキサントはICU患者のせん妄の減少と関連する結果が得られた。本研究結果は、オレキシン拮抗薬がICUにおけるせん妄に対して防御的に働く可能性があることを示し、国際雑誌に掲載された意義は大きい。Phase 2として予想通りのペースで成果が得られたと言える。
Phase 3である”心臓血管外科術後患者を対象としてスボレキサント投与の無作為化比較試験”の実行可能性、臨床的有用性を考慮して、計画を修正し、スボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコルの有用性を検証する多施設前向き介入前後比較研究とした。本研究に13施設が参加を表明し、2018年3月における各施設の到達度は、1施設でデータ収集終了が終了し、5施設でデータ収集中、2施設で開始備中である。2018年度にPhase 3が終了する可能性が高いことを考えると予想以上の進行状況と言える。

今後の研究の推進方策

看護師による他覚的睡眠評価、非侵襲的な睡眠モニタリング機能付きマット、簡易脳波モニターの妥当性・正確性検証研究の論文作成を継続し、2018年度内に投稿を完了する。
Phase 3である、スボレキサントを含めたICUにおける睡眠促進・せん妄予防プロトコル多施設前向き介入研究は、2018年9月にデータ収集を終了し、2018年度内に論文の完成を目指す。
遅れているPhase 1であるICU患者におけるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究は、倫理委員会の承認を得て、2018年度秋にデータ収集を開始する。短期間で目標症例数に到達するために他施設に参加を呼びかけることも考慮する。

次年度使用額が生じた理由

2017年度にはPhase 1であるオレキシンの脳脊髄液中動態を評価する研究が予定通りに進まず、検体収集・保存・送付・解析に関わる費用の一部未使用分が生じたため。2018年度は、これらに要する費用のほか、学会出張・論文投稿に関わる費用として使用予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Suvorexant is associated with a low incidence of delirium in critically ill patients: a retrospective cohort study.2018

    • 著者名/発表者名
      Masuyama T, Sanui M, Yoshida N, Iizuka Y, Ogi K, Yagihashi S, Nagatomo K, Sasabuchi Y, Lefor AK.
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/psyg.12314

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 重症患者におけるポータブル脳波計SedLineを用いた睡眠モニタリングの有用性2018

    • 著者名/発表者名
      増山 智之、長友 香苗、吉田 直人、加藤 剛、岩崎 夢大、関根 彰子、簗瀬 史貴、川岸 利臣、八木橋 智子、讃井 將満
    • 学会等名
      第45回日本集中治療医学会学術集会
  • [学会発表] ICU患者に対する看護師による睡眠評価の妥当性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      吉田 直人、長友 香苗、増山 智之、牧野 淳、八木橋 智子、讃井 將満
    • 学会等名
      第45回日本集中治療医学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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