研究課題/領域番号 |
16K11421
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
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研究分担者 |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (80267955)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管内皮細胞 / グリコカリクス / シンデカン / ヒストン / アンチトロンビン / ペントラキシン3 / ヘパラン硫酸 |
研究実績の概要 |
H28年度の研究においては、培養血管内皮細胞を用いて侵襲下に変動するタンパク質の検討を行なった。ここで内皮細胞の刺激には、敗血症においてdamage-associated molecular patternとして機能し、neutrophil extracellular trapの構成成分でもあるヒストンを用いた。まずラット内皮細胞をヒストンで刺激し、細胞障害の程度と培養液中に増加するタンパク質の関連を検討した。その結果、内皮細胞表面に存在するグリコカリクス、特にその主たる構成成分であるシンデカンが障害程度と関連して培養液中に増加することが確認された。続いて、ヒストンによる内皮細胞障害を緩和する可能性がある治療薬として、アルブミン、活性化プロテインC、ペントラキシン3、そしてアンチトロンビンを取り上げ、内皮保護効果の検討を行なった。その結果、いずれの薬剤においても障害の緩和効果がみられたが、作用機序、有効性、さらに将来的な臨床応用への可能性を考えてこのうちのアンチトロンビンに注目してさらに研究を進めた。すなわち、アンチトロンビンの異なるアイソフォームであるアルファ体とベータ体をヘパリンカラムを用いて精製分離し、両者における効果の違いを比較した。その結果、いずれのアイソフォームにおいても効果が認められるものの、両者の比較では、ベータアイソフォームの効果がより強いことが確認された。その理由を探るため蛍光免疫染色による観察を実施した結果、ベータ体はシンデカンを構成するヘパラン硫酸への結合力がアルファ体よりも強いことが関与していると想定された。これにより、現在濃縮製剤として血漿より分離精製されているアンチトロンビン製剤の構成比を変えることで、より有用性の高い製剤を開発できる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロテオーム解析に時間を要しているため、網羅的な検索の実施が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のアンチトロンビンによる内皮細胞保護効果については、予定どおり培養細胞を用いた検討から動物実験に進める予定である。またプロテオーム解析については、手技に習熟して解析が軌道に乗れば、予定どおり培養液中のタンパク質の網羅的かつ継時的な検討を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
プロテオーム解析の実施が遅延しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度において使用する予定である。
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