研究課題/領域番号 |
16K11423
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研究機関 | 東京女子体育大学 |
研究代表者 |
山田 浩二郎 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (40283436)
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研究分担者 |
福島 憲治 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80348284)
杉木 大輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80524446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルトリアージタグ / トリアージタッグ / 災害訓練 / インターネット / QRコード / 情報管理 |
研究実績の概要 |
研究代表者等は、紙ベースのトリアージタタッグ(以下タッグ)を用いた災害現場患者情報収集における、遅延、情報授受の誤記な どの問題を解決する方策としてタッグのデジタル化を提唱してきた。近年災害現場患者情報収集について多様な方法が提示され、複 数の機器が市販化されている。これらのシステムを全ての DMAT・消防組織への装備を図ることを否定するものではないが、専用タッ グが必要、傷病者情報入力端末がアンドロイド携帯に限定される、専用のサーバーを要する、システム導入には少なくない経済的負担 を強いるなど全国に普及させるためには課題があり実災害でされたという報告は未だ無い。 我々は、アクセスには無償で配布するQRコ ードを用い、これを紙タッグに貼付し利用する、現有する機器で利用可能な簡易的患者情報収集システム(以下QRcodeDTT)を構想し 試作してきた。 昨年度は、研究課題採択にあたり、1集団災害 医学会より公表されている災害時の診療記録と構築したシステムの応急救護所画面運用場面をを本診療録との整合性を保持するよう 改修作業を行った。2傷病者情報に各傷病者の評価(データ更新)を経時的に表示するログ機能を付加。3本部を想定した一覧表画面表示により複数の部署で閲覧および入力を可能とする。4机上訓練を実施する前に各機能が予定通りに作動するのか予備入力、作動確認実験を行った。 今年度は、 6月より10月システムの改修及び動作確認を行った。 10月机上災害訓練においてシステムの機能評価実施開始したが、11月実働訓練意おいてシステムの試用を行うことが決定したため、機材等を準備した。 11月実働訓練に参加、データ収集を実施した。 平成29年10月、平成30年2月上記の成果を学術集会にて発表した。 実働訓練の結果を事例報告として投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述した通り、昨年度、災害時の診療録が公開に伴い情報管理システム構成の変更した。このためデータベース設計 を全面的に再構築した。また一部入力データがデータベース画面に反映されない 現象を認めたため、入力条件、機種などを変更し作動を確認している。平成29年9月までに改訂を要した。 そのため、構築したシステムを机上災害訓練において試用評価するの開始が10月となった。机上訓練を実施した結果、実験における評価項目の設定に修正が必要であることが判明した。この項目の改訂中に、他機関が実施する災害実働訓練意おいて試用する機会を得ることができた。 平成29年11月の実働訓練においては、入力の容易性の評価、災害発生地点より10km以離れた複数雨の医療機関において、傷病者発生数、個別の患者情報についてを把握可能であるかを評価項目として実施した。システムは設計通りに作動することが確認できた。 これらの進捗状況につて学術集会において公表した。 しかしながら今年度の課題である複数災害発生についてのシステムの対応は、最終年度にこの作業を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初机上訓練を用い機能の評価を検討していたが、平成29年度実働訓練の中で試用及び機能評価も併せて実施できた。平成30年度は学術雑誌にこの結果を投稿するとともに、学術集会において公表してゆく。 基本的な性能については利便性を増すことが確認できたため、災害医療に取り組む関係者が参加する学術集会で本システムの有効性を知ってもらう機会を設けることを検討している。 システム発展としてGPS情報に基づ く災害発生場所ごとにデータベースを構築するシステムを開発する。 これは複数個所災害における傷病者情報をGPS情報、時間情報に基づく災害発生場所ごとにグループ化し管理可能なシステムである。 また他機関が災害時における多様なデータを集約する取り組みを行っていることが判明しているため一定の成果を得た時点において。当データベースで収集したGPS情報を提供し二次利用して頂く方向性で調整を打診していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初研究の遂行計画では、机上訓練を行い機能の評価を実施する予定であったが、評価項目の設定に問題を認めたため再検討することにした。その準備段階において実働訓練による評価を行う機会を得たため、机上訓練における評価について再開継続ではなく、必要時実施することとした。 試用して頂いた実働訓練中の評価項目において一定の有効性を確認することができたため、成果を学術研究として報告する準備を行った。 次年度使用額については、実働訓練において実施した結果をもとに次年度さらにシステムの改変を行うこと、本システムの稼働について広く意見を求める研究会を開催する費用に充当することを検討している。
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