研究課題/領域番号 |
16K11424
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
横室 茂樹 日本医科大学, 医学部, 病院教授 (30267223)
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研究分担者 |
松田 明久 日本医科大学, 医学部, 病院講師 (00366741)
宮下 正夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (70229847)
山田 真吏奈 日本医科大学, 医学部, 講師 (70508621)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感染症 |
研究実績の概要 |
感染に伴う全身性炎症反応症候群である重症敗血症(および敗血症性ショック)は、致死率が20-45%と高く、急速な高齢化に伴いその罹患率が増加しているにも関わらず、いまだ有効な治療法が開発されていない。炎症性マーカーとして広く使用されているC-reactive protein (CRP)は、その生体内での役割についてはあまり知られていないものの、近年、様々な生体防御反応を担っていることが報告されている。本研究の目的は、重症敗血症の主病態である過剰な炎症性生体反応に合成CRPの投与がその抗炎症性作用から臓器不全ならびに予後改善効果を有することを明らかにし、さらに、これらの効果がマクロファージによるアポトーシス細胞の貪食作用増強に由来することを証明することである。マウス敗血症(Cecal ligation and puncture; CLP)モデルは、重症敗血症の原因として頻度の高い下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を模倣し、最もヒト重症敗血症の病態と相似するとされているモデルを使用する。本実験においては、ヒト重症敗血症の致死率(25-45%)を勘案し、生存率50%となるCLPモデルを使用する。具体的には雄性、C57BL/6Jマウスを使用。イソフルラン吸入麻酔下でCLPモデルを作成した。合成CRPの投与はCLP術直後に500μg/マウスおよび1000μg/マウスの容量で単回投与を行った。コントロール群には,同量のPBSを投与している。その結果、生存率は、コントロール群に比べて、合成CRP投与群において、有意な生存率の改善が観察された。また、合成CRP投与による生存率の改善は容量依存であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった安定したマウス敗血症(Cecal ligation and puncture; CLP)モデルを確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
マウス敗血症(Cecal ligation and puncture; CLP)モデルにおける合成CRP投与の治療効果を検討する。具体的には,血中および障害臓器の炎症性サイトカイン発現,アポトーシス(および関連蛋白)を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) ヒト重症敗血症の致死率を模倣したCLP動物モデルの作成法の最適化に時間を要した。そのことから、合成CRPの効果検討の開始が遅れた。 (使用計画) CLP動物モデルの作成法の最適化ができた為、合成CRPの治療効果の検討を開始する。その際の動物購入費、試薬類の購入に充てる。
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