研究課題/領域番号 |
16K11436
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
植松 悟子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 総合診療部, 医師 (80632629)
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研究分担者 |
井手 健太郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 手術・集中治療部, その他 (60632627)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小児 / 軽症頭部外傷 / 頭部CT検査 / CT撮影基準 / 検査被曝 |
研究実績の概要 |
小児軽症頭部外傷例は多く,救急外来を多く受診する機会が多い.しかし,国内ではCT撮影ガイドラインは存在せず,CT撮影率,適応などの現状も把握されていない.欧米ではCT撮影基準が策定され,効果について外部検証もされている.最も大きな問題は,CT 撮影による被曝の影響により,がんの発生が高まることが明らかになり,被曝を最小限にする必要もある.よって,わずかながら存在する頭蓋内損傷を見逃さず,かつ,CT撮影を必要最小限にすることが理想であり,本研究の目的は,頭部CT撮影基準を含む頭部外傷の診療方法の整備によって,国内における軽症頭部外傷小児に対する適切な頭部CT撮影の実施である. 研究方法は,16歳未満を対象とした多施設共同非介入観察型研究であり,主エンドポイントを頭蓋内損傷の陰性的中率,副エンドポイントを頭蓋内損傷の陽性的中率,感度,頭部CT撮影率,頭部撮影基準遵守率とした.目標症例数は,既に論文化された同様の研究と国内データを元に5,000例とした. 国内で小児軽症頭部外傷についての多施設共同研究は現在までに実施されたことはなく,今後の診療の方法に大きな影響を与える可能性がある意義のある研究である. 平成29年度の実績の概要は,28年度に開始した症例収集を平成29年度10月まで継続した.この期間中に各施設に定期的に訪問して研究フローが適切に実施されているか検証を行い,症例収集状況を確認して研究が順調に行われいてることを確認した.また,記載された問診票と調査票の個人情報部分を裁断して匿名化した文書を各施設よりしてスキャナー取り込み,および,電子データベースの作成,10月終了後には,データクリーニングを開始した. 国内で小児軽症頭部外傷についての多施設共同研究は現在までに実施されたことはなく,今後の診療の方法に大きな影響を与える可能性がある意義のある研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,平成28年度中に6施設で研究が開始され1か月に約500症例のペースで症例収集される症例収集を平成29年10月まで継続した.10月の時点で予定の症例数が蓄積されたことを確認して症例の集積を終了した.研究開始後にも各施設の研究実施状況を確認するために研究責任者または研究事務局の定期的な訪問を行い,研究の質を担保した.また,収集した調査票の記載状況を確認した後に集計のための電子データベースの作成を継続.10月以降は集計されたデータのクリーニングを行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,集積全データの電子データをクリーニングして解析をする.解析内容については研究成果として11月に開催される日本救急医学会で発表の予定である.発表後には論文化を進める予定である. 論文化の後には,今後の臨床現場で使用し易い,問診表,身体診察項目と所見,頭部外傷小児の説明用パンフレットなどを整備してセット化して軽症小児頭部外傷診療の普遍的体制構築を整える.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)各6箇所の施設への研究進捗の訪問旅費について,各施設の研究進捗が順調であり,予測した訪問回数よりも少なく終了したこと.人件費として600,000円を計上していたが,10月までデータ収集を継続していたため,集計およびデータクリーニングに関わる人件費・謝金費用については次年度へ持ち越す部分がでたため. (使用計画)前年度残額と平成30年度請求額の直接経費の合計1,059,306円.使用計画は物品費:100,000円旅費:200,000円,人件費359,000円 その他(資料印刷代,通信費,学会発表費用)400,000円.データクリーニング含めたデータベース完成に関わる人件費が多くかかる予定.
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