研究課題/領域番号 |
16K11443
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
南崎 朋子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (30452593)
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研究分担者 |
吉子 裕二 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (20263709)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨転移 / miRNA |
研究実績の概要 |
正常マウス骨芽細胞(MC3T3-E1細胞)を培養し、通例にならい、細胞外基質から微小胞をコラゲナーゼ処理および超遠心法によって回収した。また、エクソソームを培養上清より回収した。フローサイトメーター、電子顕微鏡、ナノサイト、ウェスタンブロッティングにて形態やマーカータンパクの発現等を確認し、精製した微小胞を用いてmiRNAマイクロアレイを行った。内包量の多かったmiR-125bおよびmiR-199aについて、培養破骨細胞もしくは培養骨芽細胞への影響を検討したところ、miR-125bにおいて破骨細胞分化抑制作用を確認した。 乳がん細胞株(高転移性4T1細胞(マウス)およびMCF-7細胞(ヒト)、低転移性MCF7細胞(ヒト))、前立腺がん細胞株(高転移性PC3細胞(ヒト))を培養下、微小胞を添加し、がん細胞への取り込みの有無、増殖および分化、転移能への影響をタイムラプス、MTT アッセイ、トランスウェルを用いた遊走性および浸潤性アッセイ等で確認したところ、ヒト乳がん細胞および前立腺がん細胞において増殖能・遊走能および浸潤能(PC3では増殖能に影響なし)に抑制的な効果が認められた。 一方、我々が所有する、オステオカルシンプロモーター下流でmiR-125bを過剰発現するトランスジェニックマウス(miR-125b tgマウス、C57BL/6Jバックグラウンド)の膝関節より4T1細胞の移植を行い、骨転移モデルを作製することを試みたが、免疫のため成功しなかった。C57BL/6マウスに移植できるがん細胞CRL-3278(PY8119)の入手を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
miR-125bの骨転移への影響を検討するために、既に保有しているmiR-125b tgマウスへのがん細胞移植を行いたいが、モデルが未だ構築できていない。
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今後の研究の推進方策 |
miR-125b tgマウスへのがん細胞の移植が不可能な場合、ヌードマウスを用いた骨転移モデルマウスへのmiR-125bの投与への切り替えを検討中である。 今年度以降は、微小胞に含まれるmiRNAのうち、より選択的に輸送されるものを選出し、既存の報告を照らし合わせた上で、がん細胞の増殖・分化・遊走性等に関与が見込まれる標的遺伝子の絞り込みを行う。 がん細胞培養下、標的遺伝子を発現制御するmiRNAの添加、およびそのmiRNAをノックダウンあるいは過剰発現させた培養細胞由来の微小胞添加による、がん細胞の増殖・分化・遊走性等への影響を検討する。標的遺伝子を発現制御するmiRNA(複数)の合成オリゴをがん細胞株にトランスフェクションし、がん細胞の増殖および分化、転移能等への影響を評価する。 標的遺伝子を発現制御するmiRNA(複数)の合成オリゴをヒトもしくはマウス骨芽細胞にトランスフェクション、およびレンチウイルス発現ベクターを用いたノックダウンを行い、微小胞を回収後、がん細胞株に添加して、がん細胞の増殖および分化、転移能等への影響を検討する。 なお、正常細胞(少なくとも骨微小環境下に存在する細胞=骨芽細胞、破骨細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、軟骨細胞等)への影響も培養系で合わせて確認し、それらの機能に著しく影響を与えるmiRNAはこの時点で除外する可能性がある。
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