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2016 年度 実施状況報告書

歯周炎の誘導する早産発症過程におけるGalectin-3の役割に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K11444
研究機関広島大学

研究代表者

宮内 睦美  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (50169265)

研究分担者 藤田 剛  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (80379883)
占部 智  広島大学, 病院(医), 病院助教 (10403536)
古庄 寿子  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (00634461)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード歯性感染 / 早産 / 歯周病原細菌 / Galectin-3 / 血清抗体価 / 胎盤細胞
研究実績の概要

妊婦52人が口腔内診査に協力してくれた。妊婦の口腔衛生状態は比較的良好で、1名が重度の歯周病を保有していた。妊婦50人中10人の歯垢からPorphyromonas gingivalis (P.g.)のDNAが検出された。興味深いことに、重度の歯周病で早産であった妊婦の胎盤のtrophoblastsにおいて、免疫組織化学疫に多数のP.g.菌が検出された。
近年我々は歯性感染-早産マウスで血清Galectin-3(Gal3)が上昇することを明らかにした。早産のマーカーとしての有用性を明らかにするため、妊婦健診時や分娩時の血液検査の余剰血清のGal3,IL-1βとCRPを解析し、早産と正期産で比較検討した。早産症例は21例で,28週から36週での出産で,平均33週であった.原因別にみると感染によるものが15例,71.4%,非感染性のものが6例,28.6%であった.非感染早産や正期産に比べ、感染早産ではGalectin-3の値が有意に高く、Gal3が感染性早産のマーカーとなる可能性が示された。CRP値も同様の傾向を示したが、ばらつきが大きく客観的なマーカーとはなりえなかった。検討したほとんどの症例でIL-1βは検出されなかった。
In vitro ではP.g.の胎盤細胞への感染の影響を調べた。P.g.感染は胎盤細胞の増殖を抑制した。P.g.生菌感染胎盤細胞ではNF-kB経路のp65のリン酸化が起こり出産に関わるメディエーターであるGal3の遺伝子発現が上昇し、NF-kBの抑制剤はこれらの遺伝子発現を抑制した。また、rhGalectin-3存在下では胎盤細胞へのP.g.感染数が有意に増加することが明らかとなった。Gal3の誘導する感染率の増加にはPI3K活性化によるアクチン重合を介したP.g.菌の取り込み増加が関与する可能性が示唆された。現在アポトーシスに関する影響を確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

in vitro 実験はおおむね順調に進んでいる。臨床研究部分では、研究開始は遅れたものの、血清、胎盤のサンプリングや口腔内診査などは順調に進んでいる。しかしながら、その詳細な解析が遅れている状況である。また、正期出産背景を持たない正期出産のサンプルが少ないことも問題である。

今後の研究の推進方策

Galectin-3が歯性感染症による早産のマーカーとなるか否かの検討には背景を持たない正期出産妊婦の症例が必要であるが、大学病院では正期出産でも背景疾患を持つ妊婦が多いため症例数が不足している。そのため次年度は正常正期出産の多い関連病院との連携を検討する。

次年度使用額が生じた理由

臨床研究のスタートが遅れたため、症例数は順調に集まってきているが、解析に着手できていない症例も多く、その解析分の費用に余剰が出ている状況である。

次年度使用額の使用計画

今年度中に解析できなかった収集症例を解析するための免疫染色、ELISAやPCRのための消耗品の購入にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 血清Galectin-3を標的とした早産の予測・診断法の開発2016

    • 著者名/発表者名
      宮内睦美,髙田 隆
    • 学会等名
      バイオジャパン2016
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2016-10-13

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公開日: 2018-01-16  

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