研究課題/領域番号 |
16K11448
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 健吾 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90189134)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
和田 裕子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70380706)
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60452786)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | GRP78 / エナメル芽細胞 / エナメル質形成 |
研究実績の概要 |
GRP78は、分子シャペロンとして、小胞体ストレス時に小胞体の恒常性維持に作用し、抗アポトーシス機能を発揮していることはよく知られている。最近、GRP78の機能について、間葉組織の石灰化に関与していることが報告された。しかし、歯原性上皮組織の石灰化に関するGRP78の機能については不明な点が多い。今年度の研究は、エナメル質形成期の歯胚を対象に、GRP78の発現局在を検索し、上皮組織の石灰化におけるGRP78の役割を明らかにすることを目的として行なった。硬組織形成前、帽状期(胎齢15日)鐘状期(胎齢17日)における下顎第一大臼歯歯胚では、GRP78は上皮性および間葉性歯胚組織のいずれにおいても、発現はほとんど認められなかった。歯冠象牙質、エナメル質の形成が進行している硬組織形成期(生後1日齢)の下顎第一大臼歯歯胚においては、エナメル芽細胞にGRP78の強発現を認めたが、象牙芽細胞におけるGRP78の発現は、エナメル芽細胞に比べると弱かった。歯冠形成が完了し、歯根象牙質の形成が進行する時期(生後5日齢)では、ヘルトビッヒ上皮鞘にGRP78の弱い発現を示した。同時期の歯髄組織表層部でもGRP78の弱い発現が認められた。萌出直前(生後15日齢)の下顎第一大臼歯エナメル質は、退縮エナメル上皮に覆われているが、退縮エナメル上皮にはGRP78の発現は認められなかった。 一方、生後15日齢の下顎切歯においても、GRP78の発現検索を行なった。GRP78は切縁側からアピカルループ付近を覆う一連のエナメル芽細胞にGRP78の強発現を認めたが、アピカルループに近づくにつれてその発現は減弱し、アピカルループにおいては発現していなかった。また、下顎切歯周囲の歯槽骨の骨芽細胞にGRP78の発現は弱かったが認められた。破骨細胞には強発現を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
硬組織形成期臼歯歯胚のエナメル芽細胞および切歯歯胚のエナメル芽細胞に関してはGRP78の発現を光学顕微鏡で確認できたが、電子顕微鏡による超微細構造学的な確認が不充分である。GRP78の機能解析には細胞内局在の解明が必須であるため、追加実験を必要があり、期間延長を申請する。
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今後の研究の推進方策 |
GRP78の機能解析には細胞内局在の解明が必須であるため、電子顕微鏡による超微細構造学的を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間を延長したため。経費の使用は物品費のみで、実験に必要な試薬の購入にあてる。
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