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2016 年度 実施状況報告書

構造から解き明かす歯周病菌の病原因子分泌機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K11450
研究機関長崎大学

研究代表者

佐藤 啓子  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70410579)

研究分担者 今田 勝巳  大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143) [辞退]
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード歯周病菌 / タンパク質分泌装置 / 病原因子
研究実績の概要

研究の目的は、T9SSを構成する個々のタンパク質について分子構造を明らかにするとともに、分泌されるタンパク質がどのような共通構造を持ち、T9SSに認識されて膜を通過するのかをその構造の面から 明らかにすることを本研究の目的とする。
<T9SSを構成する個々のタンパク質について> PorM 結晶構造解析については、ネーティブタンパク質については解析可能な結晶が得られ、回折データを得た。
< T9SS 複合体の構造解析> PorK, PorN 複合体が単離・精製され、電子顕微鏡撮影により構造を観察したところ、リング構造をとっていることが明らかとなった (PLoS Pathog. 10;12(8) (2016))。
<T9SSから分泌されるタンパク質について> ジンジパインおよびHBP35の構造解析から、T9SS分泌タンパク質はβ-sandwich構造、CTD (C-terminal domain) を共通して持つことが明らかとなり、おそらくT9SS分泌タンパク質の基本構造は機能ドメイン、β-sandwich構造、CTDからなることが示唆された。β-sandwich構造の役割をみるためにHBP35に含まれるβ-sandwich領域の一部を欠失させたHBP35、およびβ-sandwich構造の疎水性アミノ酸を親水性アミノ酸に置換したHBP35を歯周病菌内で発現させた。β-sandwich構造変異型HBP35は菌体内で分解されることから、β-sandwich構造がIX型分泌機構での輸送に必須であることがわかった。β-sandwich構造一部欠失に伴うT9SS分泌タンパク質分解は、HBP35の他にジンジパイン (Kgp, RgpB) においても確認された。この分解に関わるプロテアーゼは、変性状態のタンパク質を特異的に分解する、菌体内品質管理HtrAであることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

<T9SS構成タンパク質について>
T9SSを構成する個々のタンパク質について分子構造を明らかにすることを研究の目的とする。具体的には、まず、T9SSのコア部分であるPorK, PorL, PorM, PorN各々の結晶構造解析を目指す。PorM結晶構造解析については、ネーティブタンパク質の解析可能な結晶が得て、回折データを得た。今後は位相決定を試みる。PorK, PorNは、可溶性タンパク質が得られておらず、巻き戻しも成功していない。PorLは可溶性タンパク質が得られているものの、結晶化スクリーニングで結晶が得られていない。
< T9SS 複合体の構造解析>
T9SS構成タンパク質のコア部分であるPorK, PorN複合体がP. gingivalisから精製され、リング構造を取っていることが分かった。
<T9SS分泌タンパク質について>
どのような共通構造を持ち、T9SSに認識されて膜を通過するのかをその構造の面から 明らかにすることを研究の目的とする。ジンジパインおよびHBP35の構造解析から、T9SS分泌タンパク質はβ-sandwich構造、CTD を共通して持つことが明らかとなり、おそらくT9SS分泌タンパク質の基本構造は機能ドメイン、β-sandwich構造、CTDからなることが示唆された。β-sandwich構造の疎水性アミノ酸を親水性アミノ酸に置換したり、β-sandwich構造を一部欠失させたりすると、T9SS分泌タンパク質は菌体内で分解されることから、β-sandwich構造がIX型分泌機構での輸送に必須であることがわかった。また、β-sandwich構造部分を他のタンパク質と入れ替えたところ、菌体内での分解は免れるものの、T9SSによって菌体表層へ輸送されなかった。このことから、T9SS分泌タンパク質は各々特有のβ-sandwich構造を持つことが分かった。

今後の研究の推進方策

<T9SSを構成する個々のタンパク質について>PorM結晶構造解析については、ネーティブタンパク質については解析可能な結晶が得られ、回折データを得た。位相決定にはセレノメチオニンラベルしたリコンビナントタンパク質を用いる予定だったが、セレノメチオニンを添加した培地ではPorMリコンビナント発現系の大腸菌は生育しなかった。このため、PorMネーティブタンパク質で得られた結晶をヨウ素化することにより、位相決定を試みる方針に変更した。PorK, PorNタンパク質については不溶性タンパク質の巻き戻しを試みているが、安定した方法が見つかっていない。さらに融合させるタグの種類を増やして検討したい。
<T9SSから分泌されるタンパク質について>T9SS分泌タンパク質はβ-sandwich構造、CTD (C-terminal domain) を共通して持つことが明らかとなり、T9SS分泌タンパク質の基本構造は機能ドメイン、β-sandwich構造、CTDからなることが示唆された。T9SS分泌タンパク質の多くは、最終的に菌体表層にアンカーされた形で存在する。今後は、共通構造(β-sandwich構造、CTD (C-terminal domain))が、この菌体表層の存在様式にどのように関わるのか検討する。
< T9SS 複合体の構造解析>PorK, PorNはリング構造を取ることが明らかとなったが、PorL, PorMの構造についてはわかっていない。Mycタグ融合タンパク質PorL-Myc, PorM-MycをP. gingivalisにおいて発現させた株を作成している。今後はこの株から、抗Myc抗体レジンを用いてPorL, PorM複合体の単離精製を試みる。

次年度使用額が生じた理由

年度末に論文校正予定だったのですが、論文校正が4月になってしまったので、残高が生じてしまいました。

次年度使用額の使用計画

論文校正料として使用予定です。
4月に論文校正を出しています。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Structural Insights into the PorK and PorN Components of the Porphyromonas gingivalis Type IX Secretion System2016

    • 著者名/発表者名
      Dhana G. Gorasia, Paul D. Veith, Eric G. Hanssen, Michelle D. Glew, Keiko Sato, Hideharu Yukitake, Koji Nakayama, Eric C. Reynolds
    • 雑誌名

      PLOS pathogens

      巻: 12(8) ページ: e1005820

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1005820.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Flavobacterium johnsoniaeのcolony spreading factor2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤啓子、近藤好夫、今村 圭吾、成田由香、内藤真理子、藤原卓、中山浩次
    • 学会等名
      第90回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県・仙台市))
    • 年月日
      2017-03-19 – 2017-03-21

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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