研究課題
代表的な歯周病原細菌がもつ病原因子分泌機構(9型分泌機構; T9SS)の分泌されるタンパク質がどのような共通性、特徴を持つのか解析を行った。T9SS分泌タンパク質の輸送タンパク質の特徴を知るために、P. gingivalis のT9SS分泌タンパク質である、HBP35全長タンパク質(プロ型)のX線結晶構造解析を行なった。これまでに報告のあるT9SS分泌タンパク質Gingipain (Kgp, Rgp)(分泌型) 等の構造と、全長HBP35の構造を比較することにより、T9SS分泌タンパク質は、機能ドメイン、Ig-like domain、C-terminal domain を基本構造として持つことが示された。Ig-like domainを欠失したHBP35 (HBP35ΔIg) およびGingipain (KgpΔIg、RgpΔIg) をP. gingivalisにおいて発現させたところ、HBP35ΔIg およびRgpBΔIg は、各々抗Hbp35抗体および抗Rgp抗体を用いたイムノブロットで検出されなくなった。これらは、菌体内で品質管理タンパク質の1つであるHtrAプロテアーゼによって分解されており、Ig-like domainを欠失したT9SS分泌タンパク質が、タンパク質凝集していることが示唆された。また、KgpとRgpBのIg-like domainを入れ替えた場合も同様に、細胞内でHtrAによって分解されていた。このことから、各々の機能ドメインに合わせたIg-like domain が必要となることが示された。一方、HBP35タンパク質の構造から、Ig-like domainは、機能ドメインとIg-like domain 間のドメインの疎水性面を覆うことによって、菌体内での凝集を防ぐ役割があることが示唆された (Sato et al. 2018)。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Mol Microbiol.
巻: 110 ページ: 64-81
10.1111/mmi.14083.