研究課題/領域番号 |
16K11456
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
張 皿 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00326472)
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研究分担者 |
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00423137)
松尾 拡 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (70238971)
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (30448899)
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨再生 / BMP / NF-κB |
研究実績の概要 |
広範囲の骨欠損に対する咬合再建では、速やかな質の高い骨誘導が求められる。強力な骨誘導因子であるBMPは、臨床応用が有望視されているが、期待通りの結果は得られていない。これまで我々は、1)炎症時に産生されるTNFαがBMPの効果を抑制すること、2)この抑制効果はTNFαのシグナルの伝達分子であるNF-κBを選択的に阻害することで解除されること、3) さらにBMPのシグナル伝達分子Smad4のMH1領域とNF-κBのp65のTA2領域が会合することでBMPシグナルを抑制すること、4)NF-κB の選択的阻害剤がBMP2による骨芽細胞分化と骨形成を促進することを報告した。そこでSmad4とp65の会合部位を同定し、NF-κBの機能を完全に失うことなく、BMPによる骨形成・骨再生の促進効果を発揮できる画期的な創薬の開発を目指すことにした。 本研究では、まずp65とSmad4の会合領域を決定し、さらに会合領域を絞り込むことで、両分子の会合部位を十数アミノ酸レベルまで限定することを試みた。すでに我々は両分子の会合部位を十数アミノ酸レベルまで限定し、同部位を標的とした低分子化合物を合成した。この化合物がp65とSmad4の会合を阻害することを確認した。また培養骨芽細胞をBMPで刺激するとアルカリホスファターゼ活性やオステオカルシンの発現を濃度依存的に促進し、骨芽細胞分化を増強することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに我々は両分子の会合部位を十数アミノ酸レベルまで限定し、同部位を標的とした低分子化合物を合成した。この化合物がp65とSmad4の会合を阻害することを確認した。また培養骨芽細胞をBMPで刺激するとアルカリホスファターゼ活性やオステオカルシンの発現を濃度依存的に促進し、骨芽細胞分化を増強することがわかった。現在、マウス筋膜下にBMP2単独またはBMP2と低分子化合物を含有するコラーゲンペレットを移植して、異所性骨が誘導される迄の時間、誘導された骨の大きさ、骨密度等を評価している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、大学院生1名を本プロジェクトに専念させている。我々が合成した低分子化合物は培養BMPによる骨芽細胞分化を促進することが確認できたので、今後はマウス筋膜下または骨欠損部にBMP2単独またはBMP2と低分子化合物を含有するコラーゲンペレットを移植して、骨が誘導される迄の時間、誘導された骨の大きさ、骨密度等を評価する。in vivoでもBMPによる骨形成の増強作用が確認できたら、特許を申請する。また合成した低分子化合物の種による応答性の違いを検討する目的でヒト骨芽細胞株を用いてBMPの効果を増強する作用についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
納品に間に合わないため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の部品費として使う予定。
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