研究課題/領域番号 |
16K11457
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
坂東 康彦 明海大学, 歯学部, 助教 (80735548)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | septoclast / 表皮型脂肪酸結合タンパク / 脂肪酸 / レチノイン酸 / 軟骨内骨化 / 骨端板軟骨 / マウス |
研究実績の概要 |
septoclastにおけるレチノイン酸摂取が軟骨吸収に及ぼす影響 1. septoclastの局在および形態学的解析 まずレチノイン酸(RA)過剰投与マウス、ビタミンA(VA)欠損餌摂食マウス及びコントロールマウスの作成を行った。これらのマウスの脛骨骨端板軟骨の組織学的検討を行った後、膝関節の凍結組織切片に対して表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP)の免疫組織化学染色を行い、骨端板軟骨吸収細胞と考えられているE-FABP陽性septoclastの骨端板領域における分布、数や形態を光学顕微鏡、走査型共焦点レーザー顕微鏡による3D画像再構築、透過型電子顕微鏡による観察で解析した。その結果、RA過剰、VA欠乏両栄養状態で、軟骨吸収低下を示唆する骨端板の組織像と、E-FABP陽性septoclastの数の有意な減少、突起の短縮や減少、微絨毛の喪失などの形態不全が認められた。 2. septoclastの核内レセプターの解析、分化増殖機構、アポトーシス誘導の解析 RA過剰、VA欠乏におけるseptoclastの細胞数減少、形態変化の原因を探るため、E-FABP陽性septoclastにおける、細胞増殖・抑制の核内レセプターの局在とアポトーシス誘導の解析を二重染色法により行った。その結果RA過剰マウスでseptoclast に細胞増殖を介する核内レセプターPPARbeta/deltaの発現抑制が認められた。今後は、RA過剰マウスおよびVA欠乏マウスにおいて、E-FABP陽性septoclastに対する形態学的解析、E-FABP遺伝子発現の解析、核内レセプター発現の解析、細胞分化・細胞増殖・アポトーシス誘導の解析を行ってゆく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.septoclastにおけるレチノイン酸摂取が軟骨吸収に及ぼす影響 研究計画では2016年度にレチノイン酸(RA)過剰投与マウス、ビタミンA(VA)欠損餌摂食マウスの作成とこれらの栄養条件下におけるE-FABP陽性septoclastに対する形態学的解析、E-FABP遺伝子発現の解析を行い、n-3系不飽和脂肪酸過剰摂取および欠損餌摂食マウスの作成を行う予定であった。2016年度はこれまでにレチノイン酸(RA)過剰投与マウス、ビタミンA(VA)欠損餌摂食マウスの作成を行い、これらの栄養条件下におけるE-FABP陽性septoclastに対する形態学的解析を予定通り行った。また、2017年度以降に行う予定であった核内レセプターPPARbeta/deltaの解析に2016年度中に着手した。E-FABP遺伝子発現の解析は2016年度行う予定であったが、2017年度以降に行う予定である。 2. septoclastにおける脂肪酸摂取が軟骨吸収に及ぼす影響 2016年度にn-3系不飽和脂肪酸過剰摂取および欠乏餌摂食マウスの作成を行う予定であった。n-3系不飽和脂肪酸欠損餌摂食マウスの作成は2016年度中に予定通り行った。n-3系不飽和脂肪酸過剰摂取マウスの作成に関しては、2016年度行う予定であったが、2017年度以降に行う予定である。また、E-FABP陽性septoclastに対する形態学的解析、E-FABP遺伝子発現の解析、核内レセプター発現の解析、細胞分化・細胞増殖・アポトーシス誘導の解析は、予定通り2017年度以降に行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
1. septoclastにおけるレチノイン酸摂取が軟骨吸収に及ぼす影響 これまでに、レチノイン酸(RA)過剰投与マウス、ビタミンA(VA)欠損餌摂食マウスの骨端板軟骨の組織学的検討、septoclastの局在および形態学的解析、septoclastの核内レセプターの解析を行った。その結果、RA過剰、VA欠乏両栄養状態で、septoclastの細胞数の減少、と形態不全を確認し、その誘導にPPARbeta/deltaが関与していることが分かった。今後は、分化増殖機構、アポトーシス誘導の解析、生化学的(タンパク、遺伝子レベル)解析を行う予定である。 2. septoclastにおける脂肪酸摂取が軟骨吸収に及ぼす影響 2016年度に引き続き、n-3系不飽和脂肪酸過剰摂取および欠乏餌摂食マウスの作成を行い、septoclastの局在および形態学的解析、septoclastの核内レセプターの解析、分化増殖機構、アポトーシス誘導の解析を行ってゆく。具体的な実験としては、これらのマウスおよびコントロールマウスの膝関節の凍結組織切片を作成し、骨端板軟骨の組織学的検討、E-FABPの免疫組織化学的染色、走査型共焦点レーザー顕微鏡による3D再構築画像の解析、透過型電子顕微鏡による観察、E-FABP遺伝子発現の解析を行う。それらの結果から、n-3系不飽和脂肪酸摂取がseptoclastに及ぼす影響と骨端板軟骨吸収の関係を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験動物(脂肪酸過剰投与マウス)の飼育計画が遅れているため。
|
次年度使用額の使用計画 |
脂肪酸過剰投与マウス飼育のための脂肪酸購入費に充てる。 アポトーシス検出キットの購入に充てる。 in situ hybridizationおよびRT-PCR用のプライマー、プローブの購入費に充てる。
|