研究課題
平成30年度は、n-3系不飽和脂肪酸過剰摂取および欠乏餌摂食マウスの作成を行い、septoclastの局在および形態学的解析、septoclastの核内レセプターの解析を行った。具体的な実験としては、これらのマウスおよびコントロールマウスの膝関節の凍結組織切片を作成し、骨端板軟骨の組織学的検討、表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP)の免疫組織化学的染色の解析を行った。それらの結果から、n-3系不飽和脂肪酸摂取がseptoclastに及ぼす影響と骨端板軟骨吸収の関係を検討したが今のところ有意な結果が得られていないので、引き続き、走査型共焦点レーザー顕微鏡による3D再構築画像の解析、透過型電子顕微鏡による観察、E-FABP遺伝子発現の解析を行い、n-3系不飽和脂肪酸摂取がseptoclastに及ぼす影響と骨端板軟骨吸収の関係を検討していく予定である。また、septoclastにおけるE-FABPの脂肪酸・レチノイン酸摂取の影響を発生過程において解析する一環として、正常マウス胎仔におけるseptoclastの発生を解析した。その結果、E-FABP陽性septoclastはマウス脛骨原基軟骨中央部の軟骨膜付近に出現し、軟骨内へ侵入する血管とともに軟骨表面に移動し、一次骨化中心完成時には、骨端板直下の骨軟骨境界に局在した。E-FABP陽性septoclastには発生最初から生後に至るまで、常にPDGFRbetaまたはNG2の免疫活性が共在した。このことから、septoclastはpericyteから分化してE-FABPを発現することが分かった。septoclastは一次骨化中心の形成の際、血管の侵入に関与していることが示唆された。以上の成果をHistochem Cell Biol (2018) 149:645-654において報告した。
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Histochemistry and Cell Biology
巻: 149 ページ: 645~654
10.1007/s00418-018-1653-1
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 30 ページ: 466~474
10.1016/j.ajoms.2018.03.001