研究課題/領域番号 |
16K11463
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
伊藤 由美 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00176372)
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研究分担者 |
梁 洪淵 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10298268)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / 診断基準 / 組織障害 / 自己抗体 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに鶴見大学歯学部附属病院ドライマウス専門外来において口唇腺生検を施行された183症例(女性158名,男性25名,平均年齢62.4歳)を対象に組織障害の程度を再検索した結果,シェーグレン症候群症例(SS)では,巣状のリンパ球浸潤と共に,導管構造の障害,また脂肪化に特徴があることを確認した.また組織障害の程度と唾液分泌量や抗SS-A抗体,抗SS-B抗体との関連性の検討を行ったところ,唾液分泌量,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体と組織障害の程度に相関関係が見出された.これらの結果をJPNの基準に基づいて診断したところ,唾液分泌量は感度が最も高いが(0.98),特異度が低く(0.21),それに対し口唇腺生検と血清検査の感度はそれぞれ(0.78)と(0.74),特異度は両者共にそれぞれ(0.98)と(0.95)と極めて高く,診断に有用な項目であることを確認した. 病態と組織障害の関連性の解明を行うことを目的に,ホルマリン固定・パラフィン包埋切片を用いた免疫組織学的検索を行った.組織学的には,組織障害が確認されたSS症例の上皮細胞ではαSMAが減少していた.またTUNEL法によるアポトーシスの発現は,導管周囲の浸潤の強い部分ではなく,辺縁部に多く確認された.現在,得られた結果から,SS症例はコントロールと比べて特徴的所見が確認されている.なおBcl-2,Bcl-x,Bax,Caspase-3などのアポトーシス関連因子を始め,炎症性サイトカイン,酸化ストレスマーカーについては検索途上であり,引き続き検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織学的な検索結果より,組織障害の解析項目として,研究計画書に記載していない組織化学的検索内容を追加したため,全体に計画より若干の遅れが出ているが,次年度で取り戻せる範囲である.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では,現在継続施行を行っている免疫組織学的検索に対し引き続き行い,さらに重症化を示す症例の組織学的障害に関与する蛋白発現についても組織学的ならびに分子生物学的手法を用いて解明する. なお現在進行している口唇腺の凍結材料を用いた遺伝子の網羅的解析は,解析に使用する新鮮な検体の収集が予定より遅れており,充分なmRNAの回収がなされていないため,ストックしている検体を用いて遂行する予定である.検体の収集は継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本研究課題の応募時,学術学会での研究成果の発表を予定していたため,旅費分を予算に含めていたが,本年度は結果の発表を行っておらず,次年度使用額が発生してしまった. (使用計画)最終年度は,次年度使用額を含めて,消耗品や抗体の購入と共に,解析費用や人件費,また成果発表や論文作成に必要な経費として使用する.
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