研究課題/領域番号 |
16K11464
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
村上 幸孝 朝日大学, 歯学部, 教授 (60239506)
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研究分担者 |
猪俣 恵 朝日大学, 歯学部, 講師 (40553798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周病関連細菌 / 外膜蛋白質 / 糖鎖修飾 / 酵素 |
研究実績の概要 |
歯周病関連細菌のPorphyromonas gingivalisを用いて、これまでに糖鎖修飾された蛋白質を網羅的に検出して同定を行ってきた。その結果、外膜蛋白質にも糖蛋白質が存在することを明らかにしている.主要外膜蛋白質であるOmpA様蛋白質の修飾糖鎖としてN-アセチルグルコサミン、シアル酸やその他の糖を検出している.しかしながら,これらの糖の付加に関わる糖鎖修飾機構については、いまだによく分かっていない。そこで本研究では、糖蛋白質の糖鎖修飾に関わる糖転移酵素を探索し、その機能を明らかにすることを目的とする。選定した糖転移酵素の変異株を作製し、菌体に及ぼす影響の検討を行う。また、宿主に対する病原性への影響も検討して、糖転移酵素の生物学的な意義を追究する。 昨年度までに、歯周病関連細菌として重要であるPorphyromonas gingivalisおよびTannerella forsythiaの糖転移酵素をデータベースから検索を行った。特に、N-アセチルグルコサミン転移酵素とシアル酸転移酵素に注目した。N-アセチルグルコサミン転移酵素については、すでに他の細菌において報告のあるものと相同性を示す酵素の候補を数個見つけることができた。一方、シアル酸転移酵素については、他菌で報告されているものとの相同性が高いものは見つけることができなかったため、別の酵素で代替している可能性があると考えている。今年度はこれらの結果を基にして、変異株の作製を進めている。また、N-アセチルグルコサミン転移酵素とシアル酸転移酵素のそれぞれに対する阻害剤を用いて、菌体の増殖への影響や菌体蛋白質の糖鎖修飾の変化についての検討を行った。いずれの阻害剤も菌体の増殖には影響を及ぼさなかったが、N-アセチルグルコサミン転移酵素阻害剤の中にはOmpA 様蛋白質のバンドを変化させるものがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯周病関連細菌P. gingivalisおよびT. forsythiaの糖転移酵素の探索を行い、それに基づいて糖転移酵素の変異株の作製を進めているが、性状の検討にまでは及んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き糖転移酵素の変異株の作製を行い、糖鎖修飾の変化や菌の性状の変化の検討を進めて、計画の遅れを取り戻すようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の中間の年度であるため、意図的に研究費全額の使い切りを行わなかったことによる。 次年度に試薬等の消耗品を購入する予定で使用計画を立てている。
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