研究課題
痛みにおける一次求心性神経の重要性の検討の解析の過程で新たなことが明らかとなった。疼痛時において免疫細胞の一種である好中球が一次求心性神経に集積することが分かった。そこで痛みにおける好中球の関与が考えられることから、Ly6G抗体の投与により好中球を除去したマウスを作製したところ慢性痛が消失することが分かった。一次求心性神経において集積した好中球はエラスターゼを分泌して神経を活性化させていた。さらに、このエラスターゼはカテプシンEと呼ばれる酵素に依存的にエラスターゼを活性化していることが分かった。好中球のカテプシンEが本当に痛みに関与するか否かを検討した。野生型の好中球を活性化させた後に正常マウスに移植すると痛みを発症した一方で、カテプシンEを欠損した好中球を活性化させ正常マウスに移植しても痛みを発症しなかった。好中球エラスターゼの特異的阻害剤であるシベレスタットあるいはカテプシンEの脊髄腔内投与を行った動物では、活性化好中球依存的な痛みは有意に抑制された。最終的に好中球の活性化様式を検討したところ、TLR4受容体を介して好中球が活性化していることが明らかとなった。本研究より、カテプシンE阻害剤が新たな鎮痛薬として作用する可能性を提示できた。特に好中球エラスターゼ阻害剤であるシベレスタットは既に厚労省より承認され 全身性炎症反応症候群に適用されていることから、痛みに対しての適用変化が非常に期待できると考えられる。
3: やや遅れている
一次求心性神経を標的とした解析を行うことを予定していたが、実験過程で新たな痛みの発症メカニズムを見出すことができたため、当初計画していた内容に関連する論文として発表した。そのため当初予定していた研究が少々遅れている。
関連する実験内容を終了することができたので、当初予定していた鎮痛候補物質の探索を行う。
当該研究に関する論文を投稿中であるため、使用額の差額分は論文掲載費にあてることとする。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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