研究課題
これまでに,SHED処置により一次求心性神経(DRG)に免疫細胞の集積が抑制されることが分かっていた。そこで,免疫細胞の一種である好中球がどのようなメカニズムでDRGに集積するのか検討を行った。代表的な好中球の遊走因子としてCXCL1が挙げられることから,逃避閾値が低下したミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)処置5日目においてDRGを回収し,CXCL1のタンパク量をウエスタンブロット法により解析した。MOG処置により有意なCXCL1の発現上昇が認められた。初代培養DRGニューロンに対してMOGを処置した際もCXCL1の有意な発現上昇が認められた。このような変化はTLR4受容体の阻害剤で完全に消失したことから,DRGニューロンのTLR4を介してCXCL1の発現調節が行われていることを示唆している。そこで,siRNAを用いてDRGニューロンのTLR4あるいはCXCL1の発現が低下した動物を作製し,これらに対してMOGを処置したところ,DRGにおける好中球の集積が消失するとともに逃避閾値の低下も有意に抑制された。これらのことから,DRGにおけるTLR4-CXCL1経路が好中球を誘引することで痛みの発症に関わっていることが明らかとなった。SHEDによる鎮痛メカニズムとして免疫細胞に対する部分的な作用しか解明することができず,未だ不明な部分が残されている。しかし,DRGにおける免疫細胞の制御が痛みの治療に非常に有効であることが分かったことから,今後,SHEDによる免疫細胞制御に基づいた痛みの制御に大きく貢献することができたと考える。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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