研究課題/領域番号 |
16K11493
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
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研究分担者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Ryk / Wnt / 骨芽細胞 / 骨細胞 |
研究実績の概要 |
Wntシグナルは多様な生命現象に関与し、その破綻は様々な病態をもたらす。Rykは、Wnt受容体の最新メンバーである。Wntシグナル伝達様式は古典経路と非古典経路に分類される。しかし、Rykはこの既存の分類に該当せず、その作用機構については不明な点が多い。Rykシグナルは種を超えて、神経軸索伸長をWnt発現部位を避ける方向へガイドすることが知られている。加えて、Wntが関わる骨代謝調節にも、Rykが関与することを本研究の基盤となった前課題(25462905)において申請者は示した。本研究は、申請者が作製した骨芽細胞特異的Ryk欠損 (Ob-Ryk-cKO)マウスを用いて、Rykの骨形成および骨ミネラル代謝における役割を解明することを目的とする。平成28年度においては、研究計画調書に記載のとおり、(1) 活性型ビタミンD製剤ELDによる骨およびミネラル代謝調節におけるRykの役割解明を行った。本研究成果による発表論文 (Nakamichi et al. J Bone Miner Res 2017 印刷中、発表論文1)において、骨芽細胞のVDRは恒常的な骨形成には影響しないことを明らかにした。したがって、恒常的な骨代謝においてVDRとRykシグナルのクロストークは見出せなかった。しかしELDによる骨形成低下が骨芽細胞のVDRを介したRANKL/OPG比の低下によること明らかにした(発表論文1)。このRANKL/OPG比の低下にRykシグナルが関与しているかどうか現在、検討中である。また、調書の計画(2)歯髄細胞移植による骨再生におけるRykの関与、についても検討した。その結果、歯髄細胞自身の細胞自律的な細胞外基質石灰化にはRykシグナルが関与していないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度においては、研究計画調書に記載のとおり、(1) 活性型ビタミンD製剤ELDによる骨およびミネラル代謝調節におけるRykの役割解明、と(2)歯髄細胞移植による骨再生におけるRykシグナルの関与、について検討を行った。その結果、(1)については、、恒常的な骨代謝においてVDRとRykシグナルのクロストークは見出せなかった。しかしELDによる骨形成低下が骨芽細胞のVDRを介したRANKL/OPG比の低下によること明らかに出来た(発表論文1)。(2)については、歯髄細胞自身の細胞自律的な細胞外基質石灰化にはRykシグナルが関与していないことを明らかに出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
計画(2)歯髄細胞移植による骨再生におけるRykシグナルの関与について、歯髄細胞自律的な石灰化だけでなく、移植歯髄細胞によるレシピエントの間葉系細胞を介した骨形成促進作用へのRykシグナルの関与について明らかにする。また、計画通り、(3)骨芽細胞のRykシグナルを介した細胞自律的な石灰化のメカニズムについて、プロテオームとRNAiスクリーニングを利用して明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や器具などについて、たびたび割引キャンペーンを利用して購入したため、当初予定よりも少ない所要額となり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
小動物解剖用の鋏の刃がこぼれ、予定外に購入しなければならなくなったので、この鋏の購入に使用する。
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