研究課題/領域番号 |
16K11497
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30400261)
|
研究分担者 |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ニッケルアレルギー / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
[Niイオン結合性樹状細胞によるNiアレルギー誘導能] Niイオン結合性DCによるNiアレルギー誘導能について、Niアレルギーマウスモデルを用いてin vivo解析を行った。まず、皮膚所属リンパ節より精製したDCをマウス耳介に皮下接種したところ、所属リンパ節へのドナーDCの遊走が認められた。そこで、マウス皮膚所属リンパ節由来DC画分をNiもしくはPBS(溶媒コントロール)と反応させ、Ni-DCもしくはPBS-DCを調製した。このNi-DCもしくはPBS-DCをNi感作マウスの耳介に皮下接種し、Niアレルギーの惹起(耳介の腫脹)を測定した。その結果、Ni-DC接種により有意な耳介の腫脹が誘導されたのに対し、PBS-DC接種では誘導されなかった。以上の結果から、Ni結合性DCは所属リンパ節でNiを抗原提示し、Niアレルギー性炎症を惹起能することが示唆された。一方、Ni-DCにNiアレルギー感作能は認められなかった。
[Niイオン結合性DCのNiイオン刺激応答性] 昨年度までの結果から、皮膚所属リンパ節由来DCをNiイオンで刺激培養することにより、IL-1βおよびIL-6 mRNAの発現が上昇することが認められた。Niイオンは細胞内でhypoxia-inducible factor(HIF)を活性化することから、HIF阻害剤の効果を検討した。その結果、HIF阻害剤存在下においても、IL-1βおよびIL-6 mRNA発現誘導に有意な変化は認められなかった。
[皮膚局所におけるNiイオン結合性DCの解析] 耳介皮膚局所におけるNiイオン結合性DCについて、フローサイトメトリーにより解析した。その結果、表皮ランゲルハンス細胞および真皮DCのいずれにおいても、Ni結合能は認められたが、所属リンパ節の遊走性DCに比べ、その程度は低かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「Niイオン結合性DCの抗原提示能」についてin vivoでの解析がほぼ終了し、「局所におけるNiイオン結合性DCの解析」も解析途中であるが順調に進んでいることから、おおむね順調に進展しているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度であることから、当初研究計画の完遂に向けて、研究分担者および研究協力者とより一層緊密に連携し、研究を推進していく。 特に、「Niイオン結合性DCにおけるNiレセプターの解析」について重点的に行っていく。 また、「局所におけるNiイオン結合性DCの解析」については、Niアレルギー発症時や炎症性刺激存在下での解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:「局所におけるNiイオン結合性DCの解析」が解析途中であり、予定していた消耗品類の購入に係る費用が未使用であったため。
使用計画:「局所におけるNiイオン結合性DCの解析」は平成30年度にも継続して行う予定であり、必要となる消耗品類の購入に使用する。
|