研究課題/領域番号 |
16K11498
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (00361709)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高精細 / MRI / 3次元 / VIBE / 下歯槽神経脈管束 / 下顎管 / 融合画像 |
研究実績の概要 |
本研究は、高精細な核磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging: MRI)を用いてより詳細な解剖学的構造を描出することを目指しており、その結果得られる画像を歯科臨床への応用していくことを目的としている。 平成28年度においては、過去に高精細撮像された画像をretrospectiveに収集し、下歯槽神経脈管束(Neuro vascular bundle: NVB)の描出能と、同時期に撮影された同一の患者の高精細Computed tomography (CT)画像とを比較した。結果として、高精細撮像MRIにおけるNVBは、CTにおける下顎管よりも有意に高い描出能を持つことを明らかにした。さらに、上記MRIとCT画像から、あらたに融合画像(fusion image)を作成し、MRI上のNVBとCT画像上の下顎管との直接的な位置の比較を行い、のNVBは例外なく下顎管内に描出されることを確認した。このことは、従来CT画像上で下顎管が描出できなかった症例に対して、MRIがその同定を可能にすることを意味しており、画期的な結果といえる。 一方で、MRI画像の限界も明らかになった。NVBの描出能力は高いものの必ずしも100%ではなく、症例によっては、モーションアーチファクトや金属アーチファクトにより、NVBが描出されないものも存在した。いずれもアーチファクトの低減に技術的なアプローチが可能であり、そうした面での検討も今後の研究計画に含めるべきかもしれない。 また、本研究の最終的な目標である、prospectiveな画像評価や、その臨床応用については、まだ実現しておらず、今後も慎重かつ確実な研究の推進が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、平成28年度に初められた研究ではあるが、すでに学会発表を3回、論文が3本受理されていることから、進捗は当初の計画以上に進展していると判断される。しかしながら、当初予定されていた、歯科用MRI受信コイルの入手ができていなかったり、計画された実験のすべてを行うことができていなかったりと、想定外の事態に遭遇していることも否定できない。今後も実現可能なことと、現実には実行不可能なことを見極めながら研究を進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現時点ですでに一定の研究成果は得られているが、今後はまずこれまでの研究成果のweak pointを補完する。具体的には、これまでのMRI画像は、ガドリニウム造影後の画像を対象としていたが、造影剤を使用しない場合についても同様の検証を行う。元来MRI検査は時間的、経済的コストがかかるので、単純MRIでも同程度の成果が得られるならば、その方が検査として推奨されると考えられる。 また、現時点では、歯科用MRI受信コイルの入手が頓挫している。これは、供給予定だった研究者の家庭の事情があるためで、時間的にその問題が解決されることが期待されることから、今後も交渉を試みていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当する金額は、当初予定していた学会参加に関する費用を、他研究費から捻出できたために余剰となったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記費用については、平成29年4月に参加予定の国際学会に関する費用として充当する予定である。
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