拡散尖度MRIは拡散強調MR画像の比較的新しい解析法として知られ、生体組織における構造を反映するともいわれる。拡散尖度MRIより得られる各パラメータは組織におけるみかけの拡散(D)とみかけの尖度(K)であり、定量値として算出することができ、口腔癌患者の既存MRI拡散強調MR画像データより口腔癌原発巣についてこれらのパラメータとリンパ節転移や予後との関連性について評価することを目的とした。 平成30年度においては当該研究をレトロスペクティブ研究として本学歯学部倫理審査委員会への研究許可申請を行い、許可を得た。一般的に口腔癌の術後における再発や転移は術後2年間に多く生じることが知られる。よって、当該研究においても術後2年以上経過した症例を対象としたいと考え、2013年10月以降にMRIが撮像され、外科的手術が施行され、病理組織学的診断により扁平上皮癌と診断された症例を対象とした。また、術後再発症例である、化学放射線療法中である、拡散強調MR画像上で病変が特定できないといった除外基準を設定した。現在2015年7月まで本学歯学部附属病院電子カルテシステム上で、51症例が特定され、そのうち13例が除外され、38症例が研究対象となり、TNM分類や術後経過(再発、転移の有無)といった臨床情報を取得した。現在、平成29年に作成した科学計算ソフトmatlabによる拡散尖度MRI解析プログラムを用いて、DKI解析を行なっており、各パラメータおよびパラメータの組合せと上記した臨床情報との関連性について解析を行なっている。2015年7月以降の症例についても現在調査中である。
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