研究課題/領域番号 |
16K11502
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
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研究分担者 |
勝井 邦彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30509419)
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 大学病院, 助教 (50550802)
青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 主任診療放射線技師 (60769264)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3Dプリンター / 頭頸部癌 / 高精度放射線治療 / マウスピース |
研究実績の概要 |
3D プリンターを用いた頭頸部癌に対する高精度放射線治療で使用可能な患者固定用デバイスの作製に関する研究を行った。 まず、3D プリンターで作製する患者固定用デバイスの原型となる、現在臨床で使用しているオーダーメイドのマウスピース型デバイスが患者固定における有用性について検討した。適合試験は、有歯顎上顎模型を用いて、①従来通り印象採得を行い作業模型上で作製したオーダーメイドのマウスピース型デバイス、②既製マウスピース型熱可塑性樹脂製デバイスを使用し歯科医療従事者が形成したもの、③既製マウスピース型熱可塑性樹脂製デバイスを使用し歯科診療経験がない診療放射線技師が形成したものを比較した。①のオーダーメイドのマウスピース型デバイスをコントロール群とした場合、②歯科医療従事者が既製品を用いたものでは適合率が平均93.3%、③歯科診療経験がない診療放射線技師が既製品を用いたものは適合率が平均48.6%となり、オーダーメイドのマウスピース型デバイスの適合性が最も良好であった。 また、オーダーメイドのマウスピース型デバイスを使用し、頭頸部癌に対するIMRTを行った43症例の各患者の照射期間中の毎回の位置誤差について遡及的に解析を行った。系統誤差は、水平方向でLateral 1.04mm(-2.34mm~2.49mm)、Long 1.09mm(-2.72mm~2.13mm)、Vertical 1.32mm(-3.33mm~2.20mm)、捻れはLateral 0.72°(-1.69°~1.33°)、Long 0.63°(-2.25°~1.03°)、Vertical 0.63°(-1.15°~1.56°)で、想定されるPTVマージンはLateral 2.6mm、Long 2.72mm、Vertical 3.31mmと良好な結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3D プリンターを用いた頭頸部癌に対する高精度放射線治療で使用可能な患者固定用デバイスを作製するにあたり、その原型となるオーダーメイドのマウスピース型デバイスについて適合性の検証を行い概ね良好な結果が得られた。 しかしながらオーダーメイドのマウスピース型デバイスの良好な適合性は歯牙負担に依存しているため、多数歯欠損や無歯顎例でも良好な適合性が得られる原型についての検討が、今後必要である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を踏まえ、多数歯欠損や無歯顎例に対して良好な適合性が得られるようなデバイスの原型に関する検討を行っていく。 また、有歯顎上顎模型を用い、光学印象およびCT画像から3D プリンターでマウスピース型デバイスを作製する。3D プリンターで作製したデバイスと、従来通り印象採得を行って作製したマウスピース型デバイスとの適合試験を行う。 同時に、3D プリンターで作製したデバイスの耐久性についても評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が情報収集のために参加予定であった学会に参加できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者が情報収集を行うための学会参加費および消耗品の購入費に充て、適正に使用する予定である。
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