研究課題/領域番号 |
16K11502
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
|
研究分担者 |
勝井 邦彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30509419)
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50550802)
青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 主任診療放射線技師 (60769264)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 3Dプリンター / 頭頸部癌 / 高精度放射線治療 / マウスピース |
研究実績の概要 |
3D プリンターを用いた頭頸部癌患者固定用デバイスのデータソースに関する研究を行った。 3Dモデルのデータソースとして、診断用CT画像を使用することを想定した検討を行った。その際、3Dデータを作成する上で一番問題となるのが口腔内金属によるアーチファクトである。どの程度の患者で、診断用CT画像がデータソースとして使用できるかを調査するため、当院で過去に治療を行った患者データを用いて、どの程度の患者が口腔内金属を有しているか検討を行った。調査対象は2011年1月~2015年12月までの間に、頭頸部癌に対して3DCRTによる照射を行った245例とした。その内、口腔領域が照射野内に含まれ、全頸部に対して照射が行われた症例は161例であった。この内、口腔内金属を有する患者は117例(73%)、口腔内金属が全くない症例は27例(17%)であった。残りの17例は無歯顎であった。調査結果から、約7割の患者が口腔内に何らかの金属が装着されていることが判明した。そのため、治療前の診断用CT画像を3Dデータソースとして用いることは困難であると考えられた。 また、レジンのX線減弱特性に関する検討も行った。現在、当院では頭頸部および脳腫瘍に対するIMRTで、マウスピース素材としてトレーレジンあるいはオルソドンティックレジンを使用している。これらについてX線減弱特性について検討を行い、結果としてオルソドンティックレジンの方が、トレーレジンよりもX線減弱がやや大きかったが、両者ともに概ね0.5%前後であり、許容範囲内であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3D プリンターを用いた頭頸部癌に対する高精度放射線治療で使用可能な患者固定用デバイスを作製するためのデータソースに関する検討を行った。 治療前の診断用CT画像を3Dデータのソースとして用いるためには、口腔内金属によるアーチファクトが正確な3Dデータ作成において問題となるが、既存患者に関する検討では約7割の患者が口腔内金属を有していた。そのため、診断用CT画像をデータソースとして用いるためには、金属アーチファクト軽減フィルタを使用してCT撮像を行うなどの対策が必要となる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を踏まえ、試作用マウスピース型デバイスのデータソースには既存患者の歯列模型を使用し、その光学印象を行うことで3Dデータを作成する。その後、デバイスの耐久性についての評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究分担者が情報収集のために参加予定であった学会に参加できなかったため。 (使用計画) 研究分担者が情報収集を行うための学会参加費および消耗品の購入費に充て、適正に使用する予定である。
|