研究課題/領域番号 |
16K11506
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉田 賀弥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 講師 (60363157)
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研究分担者 |
岡村 裕彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20380024)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PKR / AGEs / 高血糖 / 骨芽細胞 / 歯周病マウス |
研究実績の概要 |
1. PKRはP. gingivalis感染やAGEsにより誘導・活性化されるか? (1). P. gingivalisによるPKRの誘導・活性化経路について 前年度までに、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1に SNAP-P. gingivalisを感染させると、PKR蛋白質のリン酸化や発現が亢進することが判明したので、そのシグナル伝達経路の詳細を分析した。MC3T3-E1において、以上より、培養細胞実験系において、P. gingivalisがPKRを誘導・活性化することが明らかになった。(2). 高血糖状態がP. gingivalisによるPKRの誘導・活性化に及ぼす影響についてBSAを用いたAGEs合成の条件設定が確定して、生理活性を有するAGEsが合成できた。MC3T3-E1の培養上清中にAGEsや D-glucoseを添加して高血糖状態にして、P. gingivalisを感染させた後に、PKRのリン酸化及び発現変化を測定した。その結果、AGEsやD-glucoseはP. gingivalisによるPKRの誘導・活性化を亢進する傾向があることがわかった。(3). in vivo におけるP. gingivalisによるPKRの誘導・活性化について(1)や(2)の現象が実際に生体においても認められるかを確認するために、歯周病マウス及び歯周病+糖尿病併発モデルマウスを作製した。両モデルマウスの下顎骨を摘出し、マイクロCTにより解析し、歯槽骨の吸収を確認した。現在、組織切片を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AGEsの合成方法が確立し実験に用いられるようになった。P. gingivalisがPKRを活性化する分子機構が明らかとなった。歯周および歯周病+糖尿病モデルマウスからの下顎骨サンプルも採取でき、今後は順調に組織学的な解析が進むと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
AGEsやD-glucoseはP. gingivalisによるPKRの誘導・活性化を亢進する機構について詳細に検討する予定である。特に、P. gingivalisがMC3T3-E1細胞に侵入する様式や頻度が、高血糖により変化するかに着目して解析を進める。 また、歯周および歯周病+糖尿病モデルマウスの下顎骨におけるAGEsの蓄積や、PKR発現について、免疫染色法を用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた動物実験(歯周病モデルマウス及び歯周病+糖尿病併発モデルマウス)の作成が順調で、早期に下顎骨サンプルを採取できたために、実験動物購入費用や実験施設使用料、マイクロCT使用料などを支出する必要がなくなった。 今年度は、前年度採取した下顎骨サンプルの組織的解析に必要な切片作成試薬、染色試薬や解析料金に予算を使用する予定である。
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