研究課題/領域番号 |
16K11510
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西下 一久 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20237697)
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研究分担者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10311846)
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Rab27a / RAW264.7 / ネオマイシン / 恒常発現細胞クローン |
研究実績の概要 |
RANKLによって破骨細胞に分化できるマウスRAW264.7細胞に、マウスRab27aにDYKDDDKタグをアミノ末端に付加したコンストラクトをトランスフェクトし、ネオマイシンを用いて選択を行い、野生型および常時活性を有する変異を導入したQ78L型のRab27aを恒常的に発現するクローンを樹立した。発現確認は抗DYKDDDDK抗体ならびに抗Rab27抗体によるウエスタンブロット法に依った。 RAW264.7細胞はリポフェクション法によるプラスミドのトランスフェクトが困難な細胞としてよく知られているが、トランスフェクトそのものよりむしろトランスフェクト後の薬剤選択によっても発現のないクローンが多数残るため、恒常的発現クローンの樹立に難易度の高さを感じた。また、恒常的発現クローンRAW264.7における発現量は、トランスフェクト・薬剤選択が容易なHEK293細胞における発現量の数分の1程度であった。 樹立したRab27a恒常発現RAW264.7細胞抽出液より抗DYKDDDDK抗体ビーズを用いた免疫沈降を行い、プルダウンされてくる内在性のRab27a結合タンパクを質量分析ペプチドフィンガープリント法により同定を試みたが、有意なタンパク質は未だ拾えていない。 並行して大腸菌にて発現させたGSTタグ付加のRab27aの精製を行った。活性を失う変異を導入したT23N型のRab27aは哺乳類培養細胞においても大腸菌においても発現が認められなかった。文献をあたってみたところ、T23N型Rab27aは培養細胞に発現しない、トランスジェニック動物を作成してもタンパク質の発現もフェノタイプも出ないという追試的な論文があることから、不活性型Rab27aは本研究での対象外とすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Rab27aの恒常発現RAW264.7細胞クローンの樹立が困難であったこと。購入したタグ抗体付加磁気ビーズの吸着量が予想されるより一桁少ないので購入したディーラーを通して発売元に問い合わせたが、回答までに3か月を要したこと。
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今後の研究の推進方策 |
Rab27a恒常発現RAW264.7細胞培養のスケールアップを行い、Rab27a結合タンパク質を抗体プルダウンと2次元電気泳動にてバンド→スポット化により切り出しゲルに含まれるタンパク質の純度と濃度を上げ、質量分析ペプチドフィンガープリント法で検出できるようにする。なお、細胞質内タンパク質は中性から酸性の等電点を有するものが多いが、他の細胞で報告されているRab27a結合タンパク質のなかにはGranuphilin 7/Slp1/Sytl1(pI=9.2)のようにアルカリ側に等電点を有するものもあるので、等電点電気泳動のストリップスにはpH3-11を用いる。 大腸菌発現Rab27a標品はRAW細胞抽出液から上記ペプチドフィンガープリント法にて拾えたタンパク質がプルダウンできることを確認する実験に用いる。 RANKLにより破骨細胞へと分化誘導したRAW264.7細胞についても同様の実験を行い、破骨細胞への分化とともにRab27aとの結合が増減するタンパク質を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
41687円は全体に比べると少額であり、計画的な予算確保ではない。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費に充当する。
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