研究課題/領域番号 |
16K11512
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
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研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
中村 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30172406)
榮田 智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | cPLA2 / 骨代謝異常 / 分子イメージング |
研究実績の概要 |
平成28年度は、分子イメージングを用いたcPLA2欠損マウスにおける骨代謝異常を解析する前段階として、in vitroの実験をおこなった。 cPLA2に関しては、炎症反応において破骨細胞の形成と活性を促進させるという報告(J Exp Med 197:1303-1310; 2003)がある一方で、破骨細胞形成に関しては抑制的に機能するという報告(PLEFA 90:117-123;2014)もある。したがって、破骨細胞の形成およびその活性におけるcPLA2の役割についてはいまだに議論の余地がある。よって平成28年度は、cPLA2欠損マウスを用いcPLA2が破骨細胞の形成とその活性にどのような役割を担っているかをin vitroで検討した。 理化学研究所との共同研究により作製したcPLA2コンディショナルノックアウトマウス(cPLA2KOマウス)を用い、大腿骨の骨髄から前駆細胞を分離し、M-CSF、RANKL存在下で破骨細胞に分化させた。この際の破骨細胞形成ならびにその活性をcPLA2が正常なマウス(cPLA2WTマウス)と比較した。 TRAP染色の観察によりcPLA2WTマウスのほうが大きな細胞が多くみられたが、破骨細胞の数はcPLA2KOマウスの方が多いことが確認された。これは、破骨細胞の分化・融合にcPLA2が関与することを示す結果であると考える。またcPLA2KOマウスから得られた破骨細胞は、cPLA2WTマウスから得られた破骨細胞と比較してactin-ringを形成しているものは少ないが、骨吸収窩の面積は広いことがわかった。このことは、actin-ringの形成(=破骨細胞の分化)や細胞の移動による骨吸収に、cPLA2が関与してることを示唆するものである。さらに、actin-ringの形成過程において不完全なactin-ringに細胞の核が存在することを見出した。以上のことから、actin-ringの形成、細胞の移動による骨吸収に核内のcPLA2が関与し、破骨細胞形成ならびにその活性を制御しているのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、cPLA2 KOマウスにおける破骨細胞形成と活性についてcPLA2WTマウスと違いがあることをin vitroで示した。このことは、当初に予想したcPLA2 KOマウスに骨代謝異常があるのではないかということを裏付けるものである。しかしながら、cPLA2 KOマウスの確保にやや時間を取られてしまい分子イメージングを用いた実験には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度のin vitroの結果で、PLA2 KOマウスに骨代謝異常があることがで示唆された。よって、今後は当初の計画通りcPLA2 KOマウスの骨代謝異常を分子イメージングを用い個体レベルで解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度中に分子イメージングを用いた個体レベルでの解析まで実験を進める予定であったが、in vitroの実験までしか進展しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度はcPLA2 KOマウスの骨代謝異常を分子イメージングを用い個体レベルで解析する予定である。よって、cPLA2 KOマウスの維持管理およびRIの受託合成を含めた分子イメージングの解析に使用する計画である。
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