研究課題/領域番号 |
16K11513
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
富田 和男 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60347094)
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研究分担者 |
馬嶋 秀行 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60165701) [辞退]
佐藤 友昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10284887)
犬童 寛子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (00301391) [辞退]
桑原 義和 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
末永 重明 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (00136889) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 酸化ストレス / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
新たに入手した2系統のρ0細胞(子宮頸がん細胞由来HeLaおよび舌がん細胞由来SAS細胞)について、抗酸化酵素群をはじめとした遺伝子発現変化を調べた。 その結果、ミトコンドリアに局在し、抗酸化作用を有するMnSODの発現が以前調べた143B同様上昇していることが判明した。しかしながらそれ以外の抗酸化酵素群の遺伝子発現については、有意な差は見られたものの、逆に発現が減少しているものも見られた。また、新たに入手した2系統のρ0細胞について、酸化ストレスに対する感受性を調べたところ、活性酸素種のひとつである過酸化水素に対して感受性を示すことがわかった。 過酸化水素を分解するカタラーゼの活性を調べたところ、予想に反して、ρ0細胞のカタラーゼ活性は親株よりも高かった。また、ATP量を調べたところ、ρ0細胞ににおけるATP量は減少していた。さらにATPのエネルギーを用い細胞膜上のイオン交換に関与するATPaseの発現にも変化が見られた。そこで細胞膜の膜電位を測定したところ、ρ0細胞においては細胞膜電位が減少していた。過酸化水素処理後の細胞内過酸化水素量についてHYDROPを用いて解析したところ、ρ0細胞においては、親株に比べ内在性の過酸化水素量の上昇するタイミングが早いことが判明した。以上のことから、ρ0細胞においては、内在性のカタラーゼの活性よりもむしろ細胞膜状態の違いによってその感受性が示唆されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに入手した2系統のρ0細胞について遺伝子発現変化を調べ、これらの細胞においてもストレス応答に関与する分子の発現に違いが見られることが分かったため。また、ρ0細胞ではATP量が減少していること、さらに、酸化ストレスのひとつである過酸化水素に対する耐性を調べたところ、ρ0細胞は酸化ストレスに感受性であり、細胞膜状態の変化も引き起こされていることも明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
ρ0細胞においては膜状態の変化が見られることが判明したので、今後は膜状態の変化に関与する分子群について解析を進める予定である。また、研究計画書にあるとおり、解糖系、電子伝達系の活性について解析を行う予定である。
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