研究課題
研究の目的は唾石の唾液腺内視鏡下唾石熔解療法の開発の第一段階として、熔解薬の決定と、溶解度を明らかにすることである。このために、溶解剤の候補薬液としてクエン酸を選択する。そして、熔解薬の至適濃度、至適pH、至適反応時間、至適反応温度について検討する。また唾液腺内視鏡を装置に組み込んだ唾石溶解実験装置の製作を行い、次年度に行う溶解実験の準備を行う。平成29年度は、唾石の収集を行った。そして、唾石を結石破砕装置で細片に破砕した。この細片を顕微鏡で観察し、その表面性状を確認した。その結果、唾石の表面は当初想定した多孔質では観察できず、表面が凹凸を示す塑像面を呈していることが判明した。そこで、この顕微鏡像をデジタル撮影し、それを画像処理により表面塑像程度を定量的に評価する方法を検討した。その結果、表面性状を定量分析するには、専用の落射光顕微鏡を整備する必要があると考えられた。
4: 遅れている
唾石の収集を終了し、唾石を結石破砕装置で細片に破砕する作業も平成29年度内に行うことができた。しかし、唾石を溶解する前後での唾石性状の定量的分析方法が、種種類の方法を試したにもかかわらず、いまだに確定できない。
まず、結石破砕装置により細片化した唾石を落射光顕微鏡により観察し、デジタル画像を取得し、画像処理ソフトで表面の塑造化程度を定量化する。そのための落射光顕微鏡とCCDカメラを購入する、次に細片唾石をクエン酸溶解液に浸漬し、熔解状態を観察する。そして、唾石表面の塑造性の変化を定性評価する。唾石表面の塑造性が熔解前と熔解後で定性的に変化していることが確認されたら、次の段階として、その前後の変化を定量的に評価できないかを検討する予定である。これらの実験はまず、開放空間で行うが、実際に唾石熔解療法を行う場合は、唾液腺内視鏡観察下の唾液腺管内で行うため、それを想定して唾液腺内視鏡を購入して、唾液腺管を想定した筒状の狭小閉鎖空間での唾石溶解実験を行い、その唾石溶解性を定性的に確認できる準備を行う予定である。なお、進捗状況によっては、唾液腺内視鏡観察下での唾石溶解実験は、平成31年度以降に行い、その研究費を科学研究費申請することも考える。
唾石熔解実験方法の確立に時間を要したため。
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Journal of Medical Case Reports
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