研究課題/領域番号 |
16K11520
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
福島 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40364765)
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研究分担者 |
依田 哲也 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60242210)
新津 守 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50251062)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯科心身症 / VBM / 脳形態変化 |
研究実績の概要 |
Voxel-Based morphometry(以下VBM)はAshuburnerらにより脳形態変化を調べる方法として開発された。VBMは脳形態において近年注目されている方法であり、3D-MRIを応用し各個人の脳画像を標準脳座標上に変換、空間正規化することで全脳の形態的解析ができる。 脳の形状変化とくに委縮の程度を統計学的に調べ客観的に検出することができるため、正常加齢変化に伴う脳形態変化だけではなく統合失調症や認知症などの脳疾患にも応用されている。最近になり、線維筋痛症、慢性腰痛などさまざまな慢性疼痛疾患を対象としたVBMを用いた脳形態解析が行われており、前部帯状回、前頭前野、扁桃体、島などの領域において灰白質体積低下が報告されている。本研究では恐怖や不安など、負の情動の処理において中心的役割を担う神経核で、慢性疼痛患者に大きな影響があると考えられる扁桃体に着目している。しかしながら本研究で行っているVBMは脳の委縮を網羅的に観察することが可能であるため、当初では予見していなかった部位での委縮も観察される可能性がある。今回われわれは、機能的身体症候群の一つである舌痛症、非定型顔面痛および特発性歯痛のいわゆる歯科心身症にVBMを施行し扁桃体の形態変化を解析すると他のFSSでみられたような脳形態変化がみられ、さらに質問票を用いた疼痛評価スコアが扁桃体の灰白質体積変化と相関するのではないかと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究当初にみられた解析ソフトと当院MRI画像との適応は問題なくなったが、症例の集積に苦慮している。 しかしながら、現時点で18症例が集積され簡易的な統計分析では痛みに関与する部位での有意な脳委縮がみられている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標症例数は30例であるが、現在18症例である。本年度はよりいっそう医局員にも協力を図り症例の集積に努める。また、本年度も滋賀医科大学にて本研究に関するセミナーが開催されるため、参加しさらなる情報の収集を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度までは症例の集積および画像解析方法の習得に従事していたため。 次年度は統計学的解析用のパソコン購入を計画しており、また得られた結果については、海外での学会発表および海外雑誌への論文投稿を検討しているため、その渡航費や翻訳・投稿費に使用する予定である。
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