研究課題/領域番号 |
16K11524
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
國分 克寿 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90535808)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エクソソーム / バイオマーカー / DNA / 唾液 |
研究実績の概要 |
本研究は、エクソソームが宿主細胞の遺伝情報を含有することに着目し、唾液エクソソームを用いた唾液腺腫瘍の遺伝子変異多様性の解析を目的とする。具体的には、唾液エクソソームからdsDNA(double-strand DNA)を抽出し、そのdsDNAの遺伝子変異情報を元に唾液腺腫瘍の新たな悪性度の診断法を開発する。 平成28年度では、エクソソーム内にdsDNAが含まれており、それらが親細胞の性質を反映していると仮定し、研究を始めた。まずは概念証明実験として、癌細胞株のエクソソームを用いて実験を行った。エクソソームは超遠心法を用い精製した。その後、エクソソームの確認のため、FACSならびにWestern blottingにてエクソソームマーカーであるCD9、CD63、CD81、TSG101の発現を確認した。精製したエクソソームからDNAを抽出し、BioanalyzerにてDNAのサイズを確認した。また、dsDNAがエクソソームに内包されていることを確認するため、Anti-CD9とAnti-dsDNAの二重染色を行ない、TEM観察を行なったところ、エクソーム内にCD9とdsDNAの共発現が観察された。次に、エクソソーム内のdsDNA が母細胞のDNAの性質を反映しているかどうかを調べるため、腫瘍特異的な遺伝子変異をSanger Sequenceを用いて調べた。その結果、KRAS、NRAS、TP53、MYD88といった様々な親細胞が持つ腫瘍特異的な遺伝子変異を、エクソソームが反映していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームに含まれるdsDNAの抽出を行い、その存在を複数の細胞株由来のエクソソームにおいて電子顕微鏡やBioanalyzer、Sanger Sequenceを用いて証明することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
親細胞が持つ遺伝子変異をエクソソームがどの程度反映しているかを確かめるため、次世代シークエンサーを用いたwhole exome sequenceを施行し確認する。その後、唾液サンプルを用い、唾液エクソソームにおけるDNAの発現を平成28年度に細胞株を用いた方法と同様な方法で検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した試薬の納入が2月中に行われるはずが製造延期となり、年度をまたいだ4月以降に納入予定となってしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度での使用にあたっては、試薬ならびに抗体、消耗品等の購入を主とする。また、本研究の成果を示すために、学会旅費として使用する予定である。
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