研究実績の概要 |
28年度は,CR表面へのCaPの析出について,CRの種類とレーザー波長の条件を検討した.レーザー援用バイオミメティック法(LAB法)によりCR表面にCaPを析出させることができ、波長532nmのVISレーザー照射が効果的であった. 29年度は、LAB法処理後のCR表面の分析と,擬似体液(SBF)テストによるアパタイト形成能を調べ,処理面の骨結合能について検討した.CRをCaP過飽和溶液(5mL)中に浸漬し,Nd:YAGレーザー(30Hz)の第2高調波(532nm,VIS光)を集光せずに,4W/cm2で30分照射した(LAB処理).照射後,試料表面をSEM 観察し,EDX分析を行った.またアパタイト形成能を評価するために照射後の試料をSBF(pH=7.4)中に37℃ で3日間浸漬し,その表面をSEM観察した.照射後のCR表面に,マイクロスケールの板状結晶よりなるCaP析出物の形成が認められた.照射後の試料をSBFに浸漬すると,析出物上に緻密なアパタイト層が形成され、骨結合能を有する可能性が考えられた. 30年度は、骨類似アパタイトに生理活性物質を複合化させることができるかを検証した.フィブロネクチン(Fn)を生理食塩水(142mM NaCl, 40mM Tris HCI, pH7.4)にFnを20μg/mLに調整した. CR表面をCaP-Fn処理,(Fn20μg/mL 0.7mLに30min浸漬後,洗浄)48wellのデッシュに静置しMC3T3-E1細胞(2000cell/500μl,)を播種し、1日間培養した. CaP-Fn処理した試料は,Cap処理,処理なしの試料と比較して,明らかに多数の細胞が付着していた.また,ラット皮下に処理した試料を2週間埋植し,試料周囲組織の炎症の有無を比較した. CaP-Fn,CaP,処理なしの試料周囲に著明な炎症は観察されなかった.
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