生体にも存在するグルタチオンは、非タンパク質チオールトリペプチドであり、細胞レベルで水溶性の抗酸化物質として働き、また重金属イオンをチオール基によって捕捉し,無毒化する。歯科材料に含有する重金属のヒ素と38%フッ化ジアンミン銀溶液(SDF)の毒性に注目し、細胞増殖/細胞毒性試験、細胞中のアルカリホスファターゼ活性試験をラット歯髄細胞株にて行った。ヒ素による細胞毒性試験では、50μMヒ素濃度で毒性が見られたが、5000μMの還元型グルタチオンを加えた結果、有意なヒ素の毒性軽減がみられた。SDFは10万倍希釈でも毒性が呈示されたが、50mMのグルタチオンによる毒性軽減が認められた。
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