研究課題/領域番号 |
16K11548
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 幹代 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (30523089)
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研究分担者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00303983)
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学研究科, 特任教授 (50116000)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バイオフィルム |
研究実績の概要 |
大阪大学歯学部附属病院を受診し、根管治療が必要と診断された外来患者に対してインフォームドコンセントを行い、同意の得られた患者15名(難治性歯周炎罹患歯14症例、難治性歯周炎非罹患歯1症例)の根管内、唾液、ならびに歯肉溝または歯周ポケット、難治性根尖性歯周炎の症例に関してはさらに根尖孔外から試料採取を実施した。そのうち、歯根端切除に至った難治性根尖性歯周炎症例3症例の各試料中の細菌DNAを抽出し、構成細菌を次世代シーケンサーを用いて、16S rRNA遺伝子を標的としたシーケンス解析に供し、その構成細菌を網羅的に同定した。その結果、症例1については、根管内および根尖孔外試料より、Capnocytophaga属、Fusobacterium属、Corynebacterium属、Propionibacterium属、Prevotella属、Porphyromonas属が高頻度に検出され、Corynebacterium属以外は、同一患者の唾液およびデンタルバイオフィルム試料からも検出された。症例2については、根尖孔外試料よりTannerella属、Treponema属が高頻度に検出され、同一患者の唾液およびデンタルバイオフィルム試料からも検出された。また、症例3については、Streptococcus属、Tannerella属、Fusobacterium属、Propionibacterium属、Prevotella属が高頻度に検出され、Propionibacterium属以外は同一患者の唾液およびデンタルバイオフィルム試料からも検出された。以上の結果より、難治性根尖性歯周炎症例の根管内および根尖孔外バイオフィルムの構成細菌はそのほとんどが歯周病の原因菌である細菌種であり、それぞれの患者の唾液およびデンタルバイオフィルム構成細菌と一致することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
難治性根尖性歯周炎罹患歯14症例、非罹患歯歯1症例の臨床試料採取が終了している。特に対象患者が少ない難治性根尖性歯周炎罹患歯に関して、目標である20症例中15症例の採取が終了しているため、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、臨床試料採取を行い、細菌DNAの抽出を行う。抽出した細菌DNAを用いて、リアルタイムPCR法による歯周病および根尖性歯周炎難治化の原因菌であると考えられている細菌種(Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythia、Fusobacterium nucleatum、prevotella intermedia)の検出および定量、P. gingivalisの線毛型の検索、ならびにピロシーケンスによるメタゲノム解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床試料からの細菌DNAの抽出を複数試料でまとめて実施する方がコストおよび時間を削減できるため、翌年度にまとめて実施することとし、リアルタイムPCR用のプライマーの作成も翌年度に行うこととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
臨床試料が20試料収集できるごとに細菌DNAを抽出する。40試料採取できた段階でリアルタイムPCRを行い、歯周病および難治性根尖性歯周炎の原因であると考えられている細菌種の検出および定量を行う。また予定通り、ピロシーケンスを用いたメタゲノム解析を随時行う予定である。
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