研究課題
大阪大学歯学部附属病院を受診し、根管治療が必要と診断された外来患者に対してインフォームドコンセントを行い、33名の患者から本研究への参加に対する同意を得た。そのうち、根尖部透過像を認めない症例(11症例)および根尖部透過像を認めたが、根管治療で治癒した症例(8症例)の根管内削片、唾液、ならびに歯肉縁下プラークを採取した。根管治療で治癒せず、外科処置に至った症例(14症例)のうち、3症例で根管内削片、根尖孔外バイオフィルム、唾液、ならびに歯肉縁下プラークを、11症例で根尖孔外バイオフィルム、唾液、ならびに歯肉縁下プラークを採取した。そのうち、24症例(根尖部透過像を認めない症例:7症例、根尖部透過像を認めたが、根管治療で治癒した症例:8症例、根管治療で治癒せず、外科処置に至った症例:9症例)について、各試料中の細菌DNAを抽出し、構成細菌を次世代シーケンサーを用いて、16S rRNA遺伝子を標的としたシーケンス解析に供し、その構成細菌を網羅的に同定した。その結果、根管治療で治癒せず、外科処置に至った症例の根管内削片および根尖孔外バイオフィルム試料から、歯周病原性細菌と考えられているPorphyomonas gingivalisやTannerella forsythiaが属するPorphyromonadaceae科の細菌が、根尖部透過像を認めない症例および根尖部透過像を認めたが、根管治療で治癒した症例の根管内削片試料と比較し多く検出された。またそれらの細菌は同一患者の唾液および歯肉縁下プラーク試料からも検出された。
2: おおむね順調に進展している
試料採取および構成細菌のシーケンス解析ともに順調に進展していると考えられる。
継続して、臨床試料採取を行い、細菌DNAの抽出を行う。抽出した細菌DNAを用いて、シーケンス解析を行うとともに、リアルタイムPCR法により、歯周病および根尖性歯周炎難治化の原因菌であると考えれている細菌種((Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythia、Fusobacterium nucleatum 、prevotella intermedia、Enterococcus faecalis)の検出および定量、P. gingivalisの線毛型の検索を行う予定である。
昨年度に発注した次世代シーケンスの納品が今年度4月になるため
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
BMC Oral Health
巻: - ページ: 未定
日本歯科保存学雑誌
巻: 60 ページ: 255-261
https://doi.org/10.11471/shikahozon.60.255