研究課題/領域番号 |
16K11554
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
尾崎 和美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (90214121)
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研究分担者 |
湯本 浩通 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (60284303)
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 銀ナノ粒子 / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
口腔バイオフィルムの形成制御技術の一つとして、ポリフェノール・銀ナノ粒子複合体(以下、CCM-SNP)の口腔細菌に対する抗菌効果とバイオフィルム形成抑制効果を検討し、う蝕原性細菌の一種であるS. mutans に対して発育阻害あるいは高濃度での殺菌効果を示した。本年度は、う蝕関連細菌であるLactobacillus casseiに加え、歯周病原性細菌の一種であるPorphyromonas gingivalis に対する同様の効果を、最小発育阻止濃度(MIC)と最小殺菌濃度(MBC)で評価するとともに、Biofilm formation assayおよび同assayで形成させたバイオフィルムの超微構造を走査型電子顕微鏡にて観察した。さらに、同様に形成させたバイオフィルムをエポキシレジンに包埋し、そこから作製した超薄切片に菌体内外多糖特異的電子染色(過沃素酸-チオカルボヒドラジド-蛋白銀染色)を施し、透過型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、種々のCCM-SNP濃度でL. caseiおよびP. gingivalisともに、発育が阻害あるいは殺滅されることを確認し、本複合体の抗菌効果が示されたが、その効果はS. mutans に対してよりも弱かった。一方、バイオフィルム形成抑制効果はS. mutans と同様に確認することができ、MICの半量のCCM-SNPを添加した液体培地(Sucrose加)で形成されたL. caseiおよびP. gingivalis両菌種のバイオフィルムを走査型および透過型電子顕微鏡で観察したところ、CCM-SNP無添加の培地で形成させたバイオフィルム(対照群)よりも、菌体外多糖だけでなく菌体内多糖においても産生量が減じていることが観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリフェノール・銀ナノ粒子複合体の合成方法や最小発育阻止濃度(MIC)や最小殺菌濃度(MBC)の評価方法、ならびにBiofilm formation assayや超微細形態学的観察など各種の解析方法について、ほぼ安定した技術を獲得しており、概ね本年度の研究計画に沿って想定した結果を得ることが可能となった。また、次年度に計画しているLEDの効果を視野に入れた効果検証に加え、エピガロカテキンガレートと銀ナノ粒子との複合体(EGCG-SNP)に関する同様の効果検証への着手にも目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定の研究計画に則り、ポリフェノール・銀ナノ粒子複合体の抗菌効果やバイオフィルム形成抑制効果の強化方法として、同複合体と被検細菌を添加した培地内に浸漬したハイドロキシアパタイト片上に形成させたバイオフィルム、あるいはバイオフィルム形成前のアパタイト片に対してLED照射を行い、培地から分取した被検細菌の増殖率、付着能およびグルカン合成量の測定を行うとともに、ならびにアパタイト表面に形成されたバイオフィルムの超微細形態学的観察を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究遂行に必要な試薬をメーカーのキャンペーンを利用して購入した、あるいは旅券の早期購入による割引を利用したなど、経費節約に務めたため。 (使用計画) 次年度の研究遂行に必要な物品(特に、遺伝子解析および超微細形態学的解析に必要な消耗品)の購入あるいは共用分析機器(総合研究室の電子顕微鏡をはじめとする各種解析機器)の使用料に充てる。
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