研究実績の概要 |
ヒト歯髄由来幹細胞 (hDPSCs)に対する魚由来コラーゲンペプチド(FCP)の細胞生活力への影響を調査するためMTT試験を行った。96穴皿にhDPSCsを播種しDMEMで培養を行った。翌日細胞の生着を確認後、総濃度が2,0.2,0.02mg/mLとなるようにFCP含有DMEMと交換して培養を行った。DMEMのみで培養したものをネガティブコントロール、Osteoblast Inducer(TaKaRa Clontech; OI)含有DMEMで培養したものをポジティブコントロールとした。24時間培養後吸光度測定を行ったところ、対照群に対する2,0.2,0.02mg/mLFCP群、OI群の吸光度比はそれぞれ1.1±0.1,1.1±0.1,1.2±0.0,1.3±0.1(n=3,平均±標準誤差)であった。OI群は対照群と比較して有意に高い細胞生活力を示したが(p<0.05)、各FCP群に関しては有意差がなかった。次にFCPの骨芽細胞分化誘導能の検討を行った。6穴皿にhDPSCsを播種しサブコンフルエント後、総濃度が2,0.2,0.02mg/mLとなるようにFCP含有DMEMとOI含有DMEMと交換し培養を行った。3日後、細胞を回収しアルカリフォスファターゼ (ALP)、オステオカルシン (OCN)、RUNX2の遺伝子発現をRT-PCR分析により比較検討した。その結果、対照群に対する2,0.2,0.02mg/mL FCP群とOI群のALPにおけるmRNAの発現比は、それぞれ0.5,2.1,0.4,1.4倍であった。OCNの遺伝子発現は、それぞれ0.5,2.2,0.4,1.6倍、RUNX2の発現は、1.0,1.1,0.8,1.2倍であった。以上のことから、FCPは0.2mg/mLという低濃度で、OIと同等の骨芽細胞誘導能を有することが明らかとなった。
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