研究実績の概要 |
我が国では2007年に65歳以上の人口の割合が21%を超え、諸外国に先駆けて超高齢社会に突入した。それに伴い、総人口の10%である約1,300万人が骨粗鬆症であるといわれている。ADLおよびQOLの維持・向上のため、骨折の予防・治療薬の開発は急務である。研究代表者はこれまで、人畜共通感染症の報告がない魚の皮、骨、鱗から抽出精製された魚コラーゲンペプチド(FCP)を用いて骨再生を誘導・促進する研究を行ってきた。そして、MTTアッセイや、RT-PCR解析、アリザリンレッドS染色結果から、0.2mg/mLという低濃度のFCPがヒト歯髄由来幹細胞(HDPSCs)の骨芽細胞誘導に対して最も有効であることが判明した。今回は、さらに骨芽細胞であるMC3T3-E1細胞に、リシルヒドロキシラーゼ(LH)を抑制する作用のある物質、ミノキシジルを21日間作用させてアリザリンレッドS染色を行った。その結果、0.2mg/mLFCP添加群が最も濃く染色され、次いでFCP無添加群(コントロール)が染色された。FCP不含100μLミノキシジル添加群はほとんど染色されなかったが、0.2mg/mLFCP含有100μLミノキシジル添加群は、0.2mg/mLFCP添加群ほどではなかったが、FCP不含100μLミノキシジル添加群よりも淡い赤色に染色されていた。このことから、FCPはLH抑制作用を改善させる作用があること、ならびにLHがFCPの石灰化誘導作用に深く関与していることが示唆された。
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