研究実績の概要 |
本年度は前臨床試験としての大型動物実験(イヌ、ミニブタ)におけるセルデリバリーシステム(細胞移植療法)の確立を目指した。すなわちScaffold内で分化誘導させた3次元培養した象牙芽細胞を歯髄露出部へ移植し、方向性のある高次構造を有する細管象牙質新生促進効果について細胞の組織内局在性、分化成熟度および硬組織基質形成度を免疫組織化学的に証明する段階であった。 前臨床試験としての実験動物への細胞移植 免疫抑制マウスを用い下顎骨表面より骨削合し、切歯歯根表面に露髄面を形成後、三次元象牙芽細胞―FCP坦体複合体を移植留置し、経時的な(移植後1~24週を目安)露髄面での細管性新生象牙質形成度について50kv、0.75mAの条件下で当大学既設の実験動物用マイクロCTの使用協力を得て時系列的な画像解析を行うと共に、ALP, Osteocalcin,BMP-2およびBSPやDSPをマーカーとしたin situ hybridization法にて組織内の移植象牙芽細胞の局在性および新生象牙質基質を病理組織学的に検討した。また形態学的にもCa親和性のカルセインを用い当教室既設の共焦点レーザー顕微鏡にて硬組織形成度を定量評価し、実際の臨床応用におけるタイミングの良い移植時期を検討したところ、大型動物における細胞移植時期としては創面の一次治癒が完了するタイミング(受傷後3~5日目)が最適であることが示唆された。
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